「もうええでしょう」だけじゃない! “ピエール瀧”がネトフリ作品に欠かせない俳優となった理由 異業種から抜てきされるバイプレーヤーの魅力とは

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ピエール瀧の怪演

 2025年も映画、ドラマ、配信作品などで渋い存在感を発揮してくれそうなのは、“異業種”からやってきた俳優たちになりそうだ。

 昨年、作品そのものが大きな話題となっただけでなく、劇中のセリフが「2024ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りしたのがNetflix(ネトフリ)シリーズ「地面師たち」の「もうええでしょう」。元司法書士で、複数の不動産関係の資格を持つ地面師グループの一員で、関西弁の法律屋・後藤の決めゼリフだった。演じたのはピエール瀧(57)。

「静岡出身の瀧さんですが、見た目も振る舞いもバリバリの関西人で、役にハマっていました。主演の地面師集団のリーダー・ハリソン山中役を演じた豊川悦司さんも、パワーワード的なセリフを連発していましたが、瀧さんのインパクトには勝てませんでした。瀧さんが演じた後藤は、成りすました土地の所有者と不動産売買の席に毎回同席してにらみを利かせます。不動産会社や銀行の人間があれこれ細かいことを聞くと、後藤がイライラしてプッツン。先方に向かって『もうええでしょう』とピシャリ。質問攻めを収めるという、重要な役割を担っていました」(映画ライター)

 瀧はもともと、友人として知り合った石野卓球(57)と結成したバンド・電気グルーヴの活動で音楽界で確固たる地位を築いたが、1995年にテレビ朝日系で放送されたドラマ「カケオチのススメ」で俳優デビュー。初主演となった日本テレビ系のドラマ「おじいさん先生」(07年)では87歳の教師役を演じた。以後、中年サラリーマン、妹思いの兄、やさしいお父さん、頑固な職人、冷徹な軍人など、幅広い役柄をこなしてきた。

「音楽活動でステージに立っていた経験から、自分の役の見せ方を熟知していると思いますね。凝り固まった演技論を持っているわけでもないので、専業の役者とは異なり、与えられた役にすっとなじめてハマってしまう」(テレビ局関係者)

 俳優業、音楽活動ともに順調だったが、2019年3月にコカインの使用で逮捕・起訴され、同6月に懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。さすがに、地上波からのオファーはなくなったが、21年4月公開の映画「ゾッキ」で俳優業に復帰するや、角界の裏側を描いた23年5月配信の「サンクチュアリ-聖域-」、現代に生きるニンジャの生き様を描いた今年2月配信の「忍びの家 House of Ninjas」、そして、「地面師たち」でブレイクを果たした。今や、ネトフリでは欠かせない俳優の一人でもる。

「瀧さんは長身で恰幅がいいので、とても、存在感があります。『地面師たち』のブレイクで俳優としての株がさらに上昇しました。もともと、現場ではスタッフにも共演者にも気さくでムードメーカー的な存在で好かれていましたし、作品では確実に“爪痕”を残していたので、一緒に仕事をしたいと考える製作陣が多かった」(前出・関係者)

 瀧の事件から1年半後、薬物事件で逮捕・起訴され、執行猶予付き判決を受けたのが伊勢谷友介だった。それまでは瀧に負けず劣らずの売れっ子だったが、

「事件後の仕事は昨年公開の映画『ペナルティループ』ぐらい。気さくな瀧さんに比べ、ビジネスも手掛けていた伊勢谷さんは、周囲のスタッフが気軽に話しかけることができない張り詰めたオーラを漂わせていました。瀧さんと異なり、なかなかオファーがないのも理解できます」(映画業界関係者)

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