田中将大(36)「楽天時代は味方打者が萎縮していたが…」“ライマル”“DH不採用”と「巨人でできなければ200勝は達成できない」三つ目の根拠とは?
DH不採用のリーグは初体験
指名打者(DH)制度を採用していないセ・リーグへの移籍になったことも、田中にはプラス以外にないという。
「今のマー君は、力でねじ伏せていた全盛期の投球はできなくなっています。ピンチで“ギアを上げる”というのが真骨頂でしたが、ギアを上げると球がばらつくなど球質が落ちるようになってしまいました。誰もが避けて通れない加齢による衰えの中で、アウトを確実に計算できる投手との対戦は、パ・リーグにはないセ・リーグの大きな利点になります」
田中がメジャー時代に所属していたヤンキースもDH制を採るア・リーグだった。日米に所属したリーグで交流戦を除けば、9人全員に気が抜けなかった。初めてDHがいないリーグに移ったことで、より長いイニングを投げられる可能性が高まるに違いない。
力勝負の色が濃いパ・リーグから離れることも、制球力重視にシフトした田中の力を発揮しやすくするだろう。キャリア晩年に松坂大輔投手が右肩痛から一時復活し、カムバック賞に輝いたのも中日時代の18年だった。その他にも阪神の下柳剛投手らパ・リーグからセ・リーグに移籍したことで、輝きを増したケースは少なくない。
周囲が気を使いすぎた楽天時代
「速球派を多く輩出してきたパ・リーグに対し、セ・リーグには技巧派が通用しやすい野球と言えます。しかも長打が出やすかった(巨人の本拠地球場の)東京ドームのホームラン数が、昨季は巨人が投手陣を立て直したことに加え、飛ばないとされたボールの影響も相まって、一昨年からは激減しました。田中の精度が高い制球があれば、五回まで2失点以内にまとめる投球がある程度、期待できるでしょう」
元監督はこのように展望を見通した上で、味方打線の援護が大きな鍵を握るという。
「特に、楽天に復帰1年目はマー君が登板すると味方打線が点を取れないことが多々、ありましたね。32歳で帰ってきた当時の楽天では多くの選手が年下になっていました。現役ながら既にレジェンド的な存在で、周囲は敬意を通り越し、気を使いすぎているように見えました。打者は田中の存在の大きさにバッティングが硬くなり、何とか援護しようとして、さらに自分本来のバッティングを見失うという悪循環に陥っていました」
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