「逆に送るのが迷惑になるのではないか」 年賀状“仕舞い”が今年は急加速 1人当たり約4通に

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昨年の34%減という低水準

 年明けの風物詩が風前の灯(ともしび)だ。日本の伝統文化として年末年始の暮らしに根付いてきた年賀状の配達数が激減している。日本郵便によると、2025年1月1日に配達した年賀郵便物数は4億9100万通(1人当たり約4通)となり、昨年の7億4300万通と比べて34%減という低水準。過去5年間で最大の減少率となってしまった。20年前の2005年は22億3000万枚だったためこの傾向はまさに“激減”と呼べるだろう。地域別では北海道、東海、沖縄での減少率が高いという。

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 都内に住む60代の自営業者は4年前に情報系企業を脱サラして独立。毎年、親しくしていた取引先に年賀状を出していたが、この年末年始は年賀はがきを1枚も購入しなかった。

「40代のころは例年100枚くらいの年賀状を頂いていました。コロナの期間中は顔を見られない人恋しさもあってお世話になった方々に引き続き年賀状をたくさん出し、こちらにも相当数が届きましたが、昨年から一気に減り始め今年届いたのはたった2枚。1枚は40年来の友人で夫婦写真付き直筆コメントあり。もう1枚は宛名が印刷でコメントなしという“出しただけ“の年賀状。友人には妻が予備で買っていた年賀はがきを1枚もらって返事を出しましたが、文末に【本年をもって年賀状は仕舞いにします】と書き添えました。おそらく来年はもうこないでしょうね。よく行くショップや企業から届いていた年始ご挨拶も今年は完全に無くなりました。これで良かったと思います」

 同じような体験をしている人は多くSNSでも年賀状をめぐって無数の意見が飛び交っている。理由としてメールやSNSの普及が挙げられているが、最大の原因はやはり 25年用の年賀はがきが63円から85円に値上がりしたことだろう。1年前は1玉100円という安さで手軽に買えたキャベツは現在、500円、600円、店によっては1000円というそれこそ目玉が飛び出そうな値段が付いている。家計防衛のため泣く泣く切り捨てたのが年賀状というわけだ。

 ただ、届いた年賀状に返事を出さないと失礼になりそうだし、かといってこちらから出すのも相手への負担を考えると躊躇してしまう……。こうなると一種の心理ゲームのようだ。

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