ゼレンスキー大統領が「北朝鮮軍の一個大隊が全滅」と発表 訓練不足の北朝鮮兵は銃を乱射して同士討ち…ロシア兵捕虜も「正気の人間ではない」と証言

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銃を乱射する北朝鮮兵

「記事では銃口管理の問題も触れています。ウクライナ軍は別のロシア兵捕虜から『北朝鮮兵は武器を不注意に扱う』との証言を得ており、その確認を捕虜に求めました。彼は事実だと認め、『北朝鮮兵の1人が訓練場で同胞の足を撃った』ケースと、『訓練場の教官が北朝鮮兵に腹部を撃たれた』ケースがあったことを証言。戦場でもロシア軍の部隊に誤射したことがあったと語っています」(同・記者)

 この捕虜によると、北朝鮮兵は戦場で銃を乱射することも多いという。特にドローンが飛んでいるのを見つけると猛烈に発砲。ウクライナ製でもロシア製でも見境なく撃つため、味方であるロシア製のドローンを撃墜したこともあったそうだ。捕虜は「北朝鮮兵から遠ざかれば遠ざかるほど、周囲は静寂を取り戻していく」と取り調べに答えている。

 前出の軍事ジャーナリストは「私も記事に目を通しましたが、捕虜が北朝鮮兵を『理屈が欠如しており、実践しかない』と評した部分を興味深く読みました」と言う。

「日本のテレビで北朝鮮軍の猛訓練が放送されることがあります。腹部をハンマーで殴られて耐えたり、靴を履かずに火の上を歩いたり、という奇想天外なものも多く、真面目なニュース番組でも面白がって流すわけです。こうした訓練と、ロシア兵捕虜の『北朝鮮兵に理屈は欠如しており、実践だけ』という証言を重ね合わせると、北朝鮮軍の訓練は“訓練のための訓練”でしかなく、その訓練がどれほど厳しくても、実戦の役には立たないという事実が浮かび上がります」

実戦を知らない軍隊の訓練

 訓練が絶対的に不足しているのではなく、意味のある訓練が全く行われていないというわけだ。検索エンジンに「北朝鮮兵 猛訓練」と入力して画像を探すと、例えば筋骨隆々の兵士が不思議な組体操を実演している朝鮮中央通信の報道写真が表示される。

「どれほど肉体が鍛えられていても、彼らは銃口管理の訓練が不足しているわけです。結果、ロシア国内の訓練所や最前線で誤射が相次いでいるのでしょう。実は昭和の時代、日本の自衛隊にも似た傾向がありました。実戦を知らないという点では今の北朝鮮軍も昔の自衛隊も同じで、そうした軍隊の訓練は実践的な内容から遠ざかる傾向があるのです。自衛隊の訓練内容が向上したのは、1992年に初めてPKO(国際連合平和維持活動)に参加し、カンボジアに派遣されて以降です。実際に部隊を現地で展開することで様々な改善点を学び、現場が上層部に『この訓練内容は現実に即していない』と報告するわけです。今の自衛隊は銃口管理を教えるためには外部の専門家でも講師に招きます。現場の直言を真摯に受け止め、しっかりと改善を繰り返したことで、自衛隊は“訓練のための訓練”から脱却することができたのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 北朝鮮軍もウクライナ軍と戦火を交えたことで、初めて戦場の実態を把握したはずだ。だが、貴重な戦訓が活用される可能性は低いという。

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