俳優を狙った「誘拐事件」が頻発か…タイ国境の“無法地帯”で消息を絶った「中国人俳優」が奇跡の生還
ガールフレンドの行動力に称賛
王星さんが無事に救出されたのは、ジアジアさんが積極的に動いたおかげだという声は多い。ジアジアさんは5日深夜の投稿で世間の耳目を集め、6日にタイ入りすると中国当局のサポートで現地当局に訴えるなど次々と手を打った。すると7日未明に「ミャンマーで王星さん発見」の一報が流れ、同日夜にはバンコクへ身柄が移されるという驚きのスピード解決に至った。
タイ警察の発表によると、王星さんがタイに来た理由はジアジアさんの投稿通り。迎えの車でターク県メーソート郡へ向かい、ミャンマーとの国境を船で越えた時点で騙されたことに気づいたが、反抗できなかったという。バンコクに戻る機中でも、川を渡った先がミャンマーだとしばらく気づかなかったことや、武装した男たちに連れて行かれた建物に約50人、別の建物にも様々な国から集められたと思われる人たちがいたこと、救助が来るまでの間にタイピングの訓練をさせられていたことなどを明かした。
救出後の王星さんは髪を刈られていたものの、大きな負傷はないという。先に出回った写真で注目された足の赤アザも生まれつきであることがわかった。これにて一件落着……となるはずだが、「事件はあくまでも中国人同士の事件」というタイ警察の発表や、王星さんだけが救出されたことなどが新たな物議を醸している。
なぜ王星さんだけが救出されたのか
タイメディアは警察の発言を元に、空港で王星さんが乗り込んだ車の運転手の証言を報じた。運転手によれば、王星さんは翻訳アプリを使って「ターク県メーソート郡に旅行する」と説明し、運賃を交渉したという。救出後の王星さんが「タイは安全です」と発言したことと合わせて、中国側では「タイ側の責任逃れ」という指摘も目立つが、タイ側にも「中国は中国人が中国人を騙した事実に触れない」と反発する声がある。
中国SNSでは真偽不明のチャット画面の画像が出回った。チャットによれば、王星さんが殴られて頭を剃られたのは拠点に来た初日。王星さんを引き渡した理由は、ネットで大騒ぎになり中国大使館が乗り出したため、拠点の所有者とそのバックが対処できなくなったからだが、引き換えに200万人民元が支払われたという。
王星さんだけが救出されたことも波紋を呼んでいる。香港では、詐欺集団に絡み行方不明となった一般人の家族が、「王星さんが芸能人だから救われたとは思いたくない」と中国政府に平等な対応を求めた。同様に中国内地でも、行方不明者の家族が失踪の経緯を公表し、協力を仰ぐ流れが始まっている。
とはいえ、王星さんの一件が怪しいというわけではない。事件が注目されると同時に、同様の手口でタイに呼ばれた芸能関係者が多数いることも発覚したのだ。
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