中学受験する6年生のために下級生の妹や弟も学校を欠席…「文京」、「港」、「中央」、「渋谷」、「千代田」の5区では進学率が「40%」を超える事態に

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 産経新聞(電子版)は昨年12月29日、「首都圏の中学受験率は過去最高見通し 入試形式多様化で選択肢拡大、豊島岡は算数と英検」との記事を配信した。首都圏模試センターの調査によると、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の中学受験率は2024年度で18・12%を記録して過去最高となった。

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 首都圏模試センターなどの調査に基づき、産経新聞は2025年度の中学受験で受験者数は横ばいで5万2000人台をキープするものの、「受験率は18・12%をわずかに上回って過去最高を更新する見通し」と分析した(註)。

 XなどのSNSでは《今の努力は必ず人生の糧になる》、《個人的には中学受験は楽しい思い出しかないです》と好意的な受け止めが投稿される一方、中学受験の加熱を懸念する声はやはり目立つ。

《子供のうちからそんなに、やらんでもとは思う》、《スポーツでもアイドル修行でも早いが勝ちみたいになってるが、当人が幸せかどうかは……》、《中学受験が当たり前の教育格差 この子たちが政財官を回すというループ だから国が駄目になるんだよ》(註:一部の表記を修正)

 18・12%の受験率と報道されると非常に高く思えるが、実際の過熱ぶりはそんなレベルではないという指摘も根強い。担当記者が言う。

「首都圏模試センターの調査は首都圏1都3県の中学受験率を調査したものです。ところが東京都内の『私立中学校への進学率』を、それも23区だけをピックアップすると、さらにパーセンテージは上昇するのです。特に中学受験が盛んな区の進学率は50%に達する勢いを見せています。不合格者の存在を考えると、進学率より受験率のほうが高い可能性があります。今や東京都23区の小学校では『6年生の半分以上が中学受験に挑戦する』という光景が珍しくも何ともないものになっているのです」

中学受験とマンション

 そこでデイリー新潮では東京23区の「私立中学への進学率」を調べてみた。東京都教育委員会は都内小学生の進路を発表している。2023年度のデータを使って、23区における進学率を計算した。国立中学は除外しているため、実際のパーセンテージはさらに高い可能性がある。

 トップ5は、いずれも40%を超えた。1位の文京区は48・21%と、ほぼ50%に達した。2位以下は、【2】港区(44・85%)、【3】中央区(42・37%)、【4】渋谷区(40・94%)、【5】千代田区(40・70%)──という結果になった。

 6位から10位は30%台だった。【6】目黒区(39・49%)、【7】新宿区(36・87%)、【8】世田谷区(36・78)、【9】豊島区(35・90%)、【10】品川区(35・07%)──。

「気になるのが、東京23区における新築マンション価格のランキングと極めて類似した順位になっていることです。住宅情報サービスなどを提供するLIFULは23年6月、『23区新築マンション価格TOP10』を発表しました。中学受験率トップ10と並べてみると、大半が重なり合っています。つまり中間層より高い所得の住民が多い地域で中学受験が過熱している可能性があるわけです。もし私立中学の授業内容が公立中学より優れ、そこに裕福な家庭の小学生が殺到しているのだとしたら、これは一種の“教育格差”だと言えます」(同・記者)

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