利上げで住宅ローンの「繰り上げ返済額」が3倍に…プロが「おすすめしない」と断言する理由

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住宅ローンはなぜ“借り得”と言われるのか

「フランスの著名な経済学者であるトマ・ピケティが『21世紀の資本』の中で提唱した“R>G”という数式をご存知でしょうか」(塩澤氏)

 R=資本収益率、G=経済成長率。すなわち、株式投資や不動産から得られる収益率は、働いて得られる給料の伸び率を上回ることを指す数式だ。

「言い換えれば、長期的には働いて稼ぐより、お金に稼いでもらった方がより効率がいいということです。この構図が一般階級と資産階級とを固定化してしまっているとも言えます。それは日本社会も例外でありませんが、日本には一般階級から資産階級へと這い上がるための“蜘蛛の糸”が存在します。それこそが、住宅ローンなのです」(同)

 塩澤氏は住宅ローンが“最強の金融商品”であると言うが、その理由はこう説く。

「住宅ローンは“借り得”な仕組みが出来上がっているのです。理由は3つあります。1つ目は金利が上昇傾向と言っても、日本の変動金利はまだまだ低金利だということ。2つ目は“住宅ローン減税”を使うことで借りたお金が返ってくること。3つ目は団信の保障内容がかなり充実していることです」(同)

 金利が低い分、繰り上げ返済でセーブできる金額はそれほど大きくない一方、住宅ローン減税は借入額×0.7%が最大で13年間控除される仕組みなので、残高が多い方がお得だと言うのだ。

「手元になるべく資金を残して、資産運用に回すことで“お金に稼いでもらう”ことが重要です。同じ理由で借入時の頭金も極力抑えた方が有利に働きます」(同)

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