2025年の金利はどう動く? 最新の「利上げ予測」と日銀の抱える“難題”を解説
日銀は昨年12月の会合で、一部予想されていた利上げを見送った。結果的に政策金利を巡る2024年の動きは、「マイナス金利解除」と、「0.25%へ引き上げ」の2段階となったわけだが、やはり気になるのが2025年の動向だ。年末には、いったいどれぐらいに――? 専門家の見立てを聞いた。
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日銀が気にする“内憂外患” 外はトランプ、では内は?
「昨年のある時期までは、12月会合での追加利上げが“ほぼ確定的”という空気だったのですが、会合が近付くにつれて、そうした観測が急激にしぼんでいきました。改めて、金利政策を巡る環境の変化の目まぐるしさが露呈した格好です」
そう話すのは、住宅ローン比較診断サービスの「モゲチェック」を手掛ける、住宅ローンアナリストの塩澤崇氏だ。
「見送りの決め手となったのは、米大統領選のトランプ氏勝利にあるとされています。トランプ氏が大統領就任時に“発動”すると予告している関税の引き上げの影響など、アメリカ自身に加えてアメリカへの輸出比率が大きい欧州・中国・日本の経済見通しに不透明感が増したのです。利上げとは、物価上昇をコントロールするため、経済にブレーキをかけることに他なりませんが、仮にトランプ大統領就任を機に世界経済が一気に冷え込んでしまった場合、日本の経済政策だけが“逆行”となるリスクを考えたのだと思います」(同)
ただ、アメリカの政情以外にも気になるポイントはあったという。
「昨年11月の消費者物価指数について、“サービス価格”の寄与度が低かったのです。サービス価格とは、主に人件費が価格の決定要因になるもので、例えば美容院のカット代や、塾の月謝などがこれにあたります。つまり、賃金アップの波及を最もダイレクトに観測できるのが、この“サービス価格”なのです」(同)
経団連の発表によれば、昨年春闘の大手企業における賃上げ率は5.58%だった。賃上げ率が5%を超えたのは実に33年ぶりのことだ。ただ、多くの人にとって“5%超”の報道とは乖離があるというのが実際のところだろう。
「大手企業で働く一部の人ではなく、国民全体に賃上げが及ぶと、この“サービス価格”も分かりやすい上昇を示すはずなのですが、まだその動きが十分には確認できません。世界的なインフレを起点に始まった“コストプッシュ型”のインフレが、国民全体の賃上げにまで波及する、という好循環が生まれていくのか。この点がまだ不透明なことも、日銀が積極的に利上げに動けない要因だと思います」(同)
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