「生まれ育った町なのに、どこを歩いているかわからなくなる」 更地になった故郷を見つめる住職の葛藤【能登半島地震から1年】

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「どこを歩いているか自分でも分からなくなる」

 解体が進む珠洲市宝立町(ほうりゅうまち)は、倒壊した家屋が撤去され、更地が増えている。

 宝立町に立っていた真宗大谷派往還寺(おうげんじ)の松下文映住職は、近所にプレハブの寺を建築。檀家や近所の人々のため、がれきの中から探し出した本尊や掛け軸などを安置している。そんな松下住職でさえ、

「どんどん風景が変わって、生まれ育った町なのに、時々、どこを歩いているか自分でも分からなくなる」

 更地となった土地に果たしてどれだけの人が戻ってくるのかは分からない。震災から丸1年、被災地は復興の進む裏でジレンマを抱えながら、2度目の正月を迎えた。来年の1月1日こそは、在りし日の故郷の姿を見られるだろうか。

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