「笑い話にできない話はするな」 西田敏行さんが遺した名言を盟友・武田鉄矢が明かす 「彼の演技には狂気が潜んでいた」

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ホステスさんがいる店にも奥さんを

 家族ぐるみの付き合いもさせていただいたので、互いの家に行ったり、お店で会うときには、いつも西田さんなじみのところに連れて行ってくれました。おいしい店をリストアップしていて、やることなすこときめ細かな人でしたね。

 覚えているのは、新宿の店で、チーズフォンデュというのを初めて目にして、どうやって食べるのか戸惑っていたら丁寧に教えてくださったことです。「このパンをですね、串に刺しまして、グツグツ煮えているチーズの中に入れて食べるんですよ」って。

 奥さん同士も楽しく酒を飲んでいました。実は、劇団の研究生をしていた西田さんの奥さま、寿子さんは大分出身。うちの妻は熊本で、私は福岡でしょ。九州の血脈ってのは、結構ツーカーなところがあるなと思いました。

 奇麗で知的な方で、シェイクスピアとかチェーホフとかを語りそうな。そのくせ豪快で、お酒も割といけたと思います。寿子さんは西田さんの最大の理解者ですよ。

 意外というか、面白かったのは、自分が行きつけの酒場であれ、ホステスさんがいる店であれ、 必ず奥さんを一度連れて行くんだって言っていたことです。というのも、例えば帰るのが遅くなるからと奥さんに電話するときに、「ほら、二人で行ったあの店で飲んでんだ」と言うと、奥さんの安心度も高いんだと。

“シンデレラ”というあだ名を付けられた理由

 思い起こしても、西田さんとはほんとによく飲みに行きました。西やんのお酒はとにかく楽しくてね。歌手の松崎しげるさんなんかが来ると、松崎さん、ギター持ってくるんですけど、ほとんどショーパブになっちゃうんですよ。他のお客さんを巻き込んだりして。

 でも私はよく怒られていました。体質もあるんですが、ある程度酔いが回っちゃうと眠たくなるタイプなんです。夜12時手前に帰っちゃうことが多かったので、西やんから“シンデレラ”ってあだ名付けられて、「鉄やんは、魔法が解けるんで帰っちゃうんだ」って。あの人はそこから踏ん張る人で、長いですね、2時3時まで。

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