トランプ次期政権の足かせは「イーロン・マスク大統領」か…国民のプライバシーを軽視する「シリコンバレー発の政治哲学」
共和党内の“仲間割れ”に揺れる米下院
トランプ次期政権の幕開けは波乱含みのようだ。
1月3日、米議会下院で実施された議長選挙で、ドナルド・トランプ氏の側近と言われる共和党のマイク・ジョンソン氏が辛うじて再選を果たした。
複数の共和党議員がジョンソン氏の議会運営に反発する事態を重くみたトランプ氏が、彼らを説得することで事なきを得たが、今後の議会運営は波高しだと言わざるを得ない。
トランプ氏が掲げる減税で財政悪化が見込まれる中、共和党の保守強硬派は歳出削減を強く要求しており、ジョンソン氏に対し、歳出削減で合意しないまま、連邦債務の借り入れを増やさないとの要求を突きつけているからだ。
ジョンソン氏は昨年末、今年3月までのつなぎ予算案に連邦債務の上限を停止する措置を盛り込んだ。トランプ氏の求めに応じたものだったが、身内の共和党議員38人が「財政緊縮に反する」として反対に回ったため、不成立となった。ジョンソン氏はその後、トランプ氏の求めを削除した予算案を再提出し、なんとか合意をとりまとめたものの、下院共和党内での求心力は一気に低下した。
トランプ相場が“早期終了”する可能性
米国では連邦債務の上限が1917年以来法律で定められており、昨年1月には現行の限度額(31.4兆ドル)に達している。これにより、米国債は史上初のデフォルト(債務不履行)に陥りかけたが、昨年6月に「財政責任法」が成立したことでこれまでのところ国債の発行に制約が生じていない。だが、この法律は1月1日に失効しており、米国債のデフォルト(債務不履行)リスクが生じている。
イエレン財務長官は昨年12月27日、1月2日に約540億ドルの歳入が見込めるため、連邦債務は1月14日から23日の間に上限に達し、その時点から財務省は特別会計措置に移行するとの見通しを示した。イエレン氏はこうした措置がいつまで続くかについて述べなかったが、ゴールドマン・サックスは、最終的な期限は今年7~8月になる可能性が高いと分析している。
ジョンソン氏は5日、連邦債務上限の引き上げに関する法律を4月中に成立させると述べたが、そうは問屋が卸さないだろう。
債務上限を巡る混乱は、2011年や13年、15年にも起きているが、いずれも資金が底を突くギリギリの期限で合意が成立している。
過去の例にならえば、債務上限を巡る議論は今年夏まで長引くことが予想され、米国の長期金利が今後、急上昇する可能性は十分にある。そうなれば、好調な株価なども打撃を受け、昨年11月以降からのトランプ相場は早期終了となってしまうだろう。
[1/3ページ]