「大谷翔平超え」の巨額契約で面目躍如…一人でメジャーの勢力図を塗り替えた「スゴ腕代理人」の交渉術とは

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米球界の勢力図を塗り替えた男

 オリオールズからフリーエージェントになっていた投手のコービン・バーンズ(30)が、2024年12月28日、ダイヤモンドバックスと6年総額2億1000万ドル(約331億8000万円)の大型契約を交わした。現地では「次は佐々木朗希(23)の移籍先」という声が強まっている。というのも、今オフの米FA投手市場は「人気、話題性は佐々木。実力ならバーンズ」と位置づけられているからだ。

「バーンズ、ブレイク・スネル(32)といった実績のある目玉投手の移籍先が決まり、これまで佐々木争奪戦で名前の出てこなかったチームが参戦してくるかもしれませんし、佐々木との交渉で劣勢が伝えられていたチームが躍起になって巻き返しを図る可能性もあります。どの球団も先発投手の補強は必須ですから」(米国人ライター)

 佐々木争奪戦がさらに過熱してくる最大の理由は、低コストで獲得できることだ。「25歳ルール」により、25歳以下、海外プロリーグ在籍6年目未満の選手は契約金、年俸込みで年間最大700万ドル(約10億6800万円)程度に制限されている。投手補強に失敗した球団の今後の出方も気になるところだが、米国ではこんな見方もある。

「今オフの米FA市場は一人の男によってかき回され、米球界の勢力分布図まで塗り替えられてしまった」

 その一人の男とは、吸血鬼の異名を持つ、あの代理人である。

「今オフFA市場におけるナンバー1野手は、メッツ入りが決まったホアン・ソト(26)、投手のナンバー1はバーンズ。バーンズに引けを取らない好投手がスネルでした」(前出・同)

 ソトは15年7億6500万ドル(約1147億円)でヤンキースからメッツへ、スネルも5年総額1億8200万ドル(約277億円)でジャイアンツからドジャースに移籍することになった。彼ら投打のナンバー1選手の代理人を務めたのが、スコット・ボラス氏(72)なのである。しかも、ボラス氏は去就が注目されていた左腕の菊池雄星(33)、24年にレッズで開幕投手を務めたフランキー・モンタス(31)、年越し交渉となってしまったメッツの主砲、ピート・アロンゾ(30)など、米FA市場ランキングの上位選手をクライアントに抱えている。

 ソト、バーンズ、スネル、菊池、モンタスの5人の契約だけでもその総額は12億5300万ドル(約1893億7300万円)にも上る。ウインターミーティングからの1ヶ月弱でこれだけの大金を動かしてしまったのだ。

「バーンズ、菊池と2人のローテーション投手を喪失したアストロズは大打撃です。4年連続ア・リーグ西地区で優勝を果たしたチームなのに、ボラス氏との交渉に破れ、投手力が大きくダウンしてしまいました」(現地記者)

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