ネットで出会った妻の「闇」がヤバかった バッグにむき出しの札束、理由を聞くと涙を流し始め…

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ある日、驚くような光景が

 コロナ禍は、ふたりとも自宅での仕事が増えた。この時期が結婚してからいちばん夫婦の会話が多かったと晶史さんは言う。いっしょに配信の映画もよく観た。彼は高校時代、母の愛人だった可能性のある“おにいさん”から、よく映画の話を聞き、就職してから映画館に出かけては観ていた時期があった。ところが秋奈さんは、ほとんど映画を知らない。同世代なのに20代の頃に流行った映画さえ観ていないのだ。芸術や文化には疎くてごめんねと秋奈さんは言った。これからはもっといっしょに映画を観ようとも言ってくれた。

「秋奈とはこうやって少しずつお互いの心を埋めていく関係なんだろうなと思いました。でも2年ほど前から、また彼女の仕事が忙しくなって。社内でも責任ある立場になったらしいです」

 そして彼はある日、驚くような光景を目にした。それは彼女が少し遅く帰宅した日のこと。帰ってくるなり彼女の携帯が鳴った。「ごめん」と携帯を手にリビングを出ていく妻が、すぐそこに置いていったバッグがぱっかり開いていた。そしてそこからお札が見えていたのだ。何の気なしに覗いてみると、お札は10枚近くあるように見えた。横に財布があるのにどうしてむき出しの札をバッグに入れているのか不思議だった。

「妻が戻ってきたとき、『バッグから札束が見えてるよ』と冗談交じりに言ったんです。すると妻の顔色が変わった。どうしたのと聞くと、何でもないと自室にこもってしまいました。何かある、彼女の根幹と関係あると直感しました」

衝撃的な事実を聞かされて

 数週間後、彼はふたりでくつろいでいるときにさりげなく「苦しんでいることがあったら言って」と促した。何もないと言った秋奈さんだが、やはり顔色がすぐれなかった。

「正直に言うと、この前のお金のことが気になってるんだと僕から言いました。きみが何か不穏な事態に巻き込まれているんじゃないかと心配なんだ、と。すると彼女、いきなり黙ったままボロボロ涙を流した。あんなに粒の大きな涙を見たのは初めてでした」

 そこから彼女がぽつりぽつりと話したのは、彼にとって衝撃的な事実だった。端的に言うと、妻は自分を売っていたのだ。忙しい仕事の合間を縫って、自らを痛めつけるように男に売っていた。

「若いころから援交みたいなことはしていたらしいですが、結婚してからは、僕に言わせれば“売春”していた。彼女の言い方だと“一夜の関係”ですが。僕も彼女の心を完璧に理解しているわけではないけど、彼女の言い分としては、『心の平安を保つためだった』と。結婚生活は幸せだけど、彼女は愛のあるセックスができない。セックスは彼女にとって、罪をあがなうための罰のようなものらしい。お金をもらうことで罪悪感が薄まるとも言っていました。相手の男だってあからさまにお金で女性を買うとは言わない。彼女からお金を要求したこともない。だけど帰りに小遣いをもらうのが習い性になっていた。自分を売っていると思うことで、なんとなく人生のバランスがとれている気がしたというんです。『あなただって風俗に行ってるでしょ、それでバランスとってるんでしょ』と言われました。バレていたんですね。僕の場合は少し違うけど、まあ、秋奈がそう思っても不思議はない」

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