元テレビ朝日法務部長“東大卒エリート弁護士”のYouTuber奮闘記「毎朝4時半起きで3時間かけて準備」「再生数が気になって土日も休めない」
アナウンサー時代の担当番組がヒントに
YouTubeを始めたきっかけは「なんとなく」だったと振り返る。
「独立したばかりで、毎月何か新しいことにチャレンジすることを自身に課していた頃でした。知人に YouTuberをやってみたらと言われ、軽い気持ちでビックカメラに行ってカメラなどの機材を購入しました」(西脇氏、以下同)
最初に手がけたのは、日々起きているニュースを弁護士として解説するというコンテンツだった。
「衆院東京15区補選で問題となっていたつばさの党の選挙妨害や、日本橋髙島屋で1000万円の純金茶碗が盗難にあった事件などを取り上げて解説してみたものの、再生数はイマイチ。もっと注目されるには何かインパクトのあることを始める必要があると考えました」
そんな折ふと思いついたのが、かつて担当していた番組の手法だった。法務部に異動するまでの12年余りのアナウンサー時代、最も長く担当したのが朝の情報番組「やじうまワイド」だった。
やじうまワイドと言えば「朝刊チェック」である。今では朝の情報番組で当たり前となった、朝刊を読み比べながら前日の出来事を解説するあのコーナーだ。YouTuberとしてこの「朝刊読み比べ」を毎朝1人自宅で生配信することにしたのである。
30分の生配信のために3時間の準備
その過酷な一日は毎朝4時半から始まる。
起床後まずコーヒーを淹れる。ドリップしている間、アパート一階の郵便受けまで新聞を取りに。6紙(朝日、毎日、読売、産経、東京、日経)が入った郵便受けはパンパンだ。
部屋に戻ると目覚ましにコーヒーを飲みながら、ひたすら新聞を読んで取り上げる記事を探す。
「やじうま時代に新聞コーナーを担当していた頃もこうして自分でネタ探しをしていました。メインキャスターだった吉澤一彦さんとは記事の取り合いになることも…」
30分間の生配信で毎朝取り上げるネタはおよそ12。それが固まるのが5時10分ころ。
「それから今度は扱うネタの関連情報やネット記事の動きを調べます。その調べが終わるのが大体6時くらいになります」
次に取り掛かるのが解説用のフリップ作り。やじうま時代はディレクターがやってくれた作業もこのように全部自分1人でやらなければならない。フリップ作りを終えるのが7時頃。すでに起床から2時間半経過しているがまだ大事な作業が残っている。サムネイル作りだ。
“オンエア”ギリギリまで続く詰めの作業
この時間になると徐々に焦り出すという。7時半の配信時間が迫ってくるからだ。悩み抜いて決めたタイトルを登録画面に打ち込み、配信開始ボタンを押すタイミングがギリギリの7時29分くらいになることも。こうして3時間かけて準備してからいざ「オンエア」を迎えるのである。
「実際、テレビ番組と違って1、2分遅れても大きな問題が生じないのですが、常連の視聴者方から“今日は遅刻したな”とお叱りを受けることも。だからなるべく定刻通り始められるよう時計と睨み合いながらの作業となります」
配信を終え、ほっと一息つけるのは8時過ぎ。だがこれで1日が終わったわけではない。むしろ、ここから「本業」の弁護士としての1日がスタートするのである。
ちなみに独身暮らしの住まいは20平米ほどのワンルーム。部屋の半分が機材などで侵食されている状態だという。
[2/3ページ]