「父親はいじめを放置」「母親も昔から異常性癖を知っていたはず」 鑑定留置中の女児連続殺傷・勝田州彦容疑者 異常な家庭環境、特殊性癖の“原点”を振り返る

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「父親はいじめを放置」

 先述の通り、家庭でのしつけが自傷行為、ひいては異常性癖へとつながっていったという見方があるのだが、

「勝田の父親は県警の先輩ですが、在職中に面識はありません。母親は私の在籍していた捜査1課の庶務係だったこともあります」

 飛松氏はそう前置きしながら、

「私は津山事件で勝田が逮捕された直後に実家を訪問し、両親と対面したことがあります。まず父親に、家庭で虐待をしていたのかと問うたところ、『(州彦が)言うことを聞かないから半殺しにしたった』と認めていました。一方、中学校で勝田は、暴力を振るわれたり机に落書きをされたりといったいじめを受けていたのですが、父親は放置していたというのです」

 また母親についても、

「体を傷つけて快楽にふける息子には気付いていた様子でした。というのも、息子の部屋で血を見ており、“栗の花の匂いがする”と私に明かしたのです。また加古川の事件が起きた後、警察が自宅を訪ねてきたことがあったといい、両親がそれとなく本人に聞いてみたものの、はっきり返事をしなかったという。それでも『やっていないと信じるしかなかった』と話していました」

 そんな父も6年前、そして母は後を追うように4年前、他界したという。

医師が分析する特殊性癖

 前出のデスクが言う。

「『姫路事件』の公判では、勝田の精神鑑定を担当した医師が出廷。本人について、『サディズム型ペドフィリア』であると述べていました」

 精神科医の片田珠美氏によれば、

「攻撃衝動を向ける先は正反対ですが、実はサディズムとマゾヒズムは表裏一体です。フロイトも、両者は反転したものであると述べています」

 とのことで、

「勝田容疑者は初め、父親に対する攻撃衝動があったものの、直接向けるのは怖いので抑圧せざるを得ず、衝動を反転させて自身を傷つけていたと思われます。それが途中からもう一度反転し、小児性愛の傾向も相まって、小さい女の子を刺して流れる血を見て興奮するに至ったのでしょう。刃物で人を傷つけることには性的な意味合いがあります」

 元東京高検検事の川口克巳弁護士は、

「津山の事件の裁判が確定する前に犯した罪、つまりたつの市の殺人未遂事件、そして加古川の殺人事件が加わることで刑法45条の併合罪となります。常識的には検察官は死刑を求刑し、判決も間違いなく死刑となるでしょう」

 鑑定留置は3月14日まで行われ、その後、検察は勝田容疑者を起訴するかどうかを判断することになる。

デイリー新潮編集部

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