【「夕刊フジ」休刊で岐路に立つ夕刊紙】 平鍋幸治社長が明かす、「東スポ」が「餃子」「唐揚げ」事業に進出した“本当の理由”
ウチのタレント第1号
私自身、東スポのコラムニストとして、今年日本一になったDeNAのキャンプへ取材に行ったら、三浦大輔監督に「東スポ餃子、いつも美味しく頂いてます!」と言われたことがある。この一件を早速私がXに投稿すると、東スポ餃子記者のアカウントが「三浦監督、ありがとうございます!」とリポストしていた。さらに巨人キャンプにも東スポ餃子900個を差し入れ。原辰徳監督に食べてもらい、その写真と感想を東スポの1面、及び東スポWEBで大々的に報じている。こういうノリは日刊ゲンダイにはない。そうしたPR活動を一手に担っているのが、佐藤浩一記者である。もともと、運動部のプロ野球担当として楽天、DeNA、巨人を担当した経験の持ち主。野球記者が食品部門の広報担当になる、という驚きの人事もまた東スポならではだ。平鍋社長が佐藤氏に白羽の矢を立てた理由は何だったのか。
「最初は3人、広報の候補を考えていたんです。早く決めなきゃと思ってたら、たまたま会社で浩一(佐藤氏)が目の前にいて、その瞬間、こいつイイな! とピンときた。で、その場で『きょうから餃子の広報担当やれ!』って言ったんですよ。『これ、俺の命令だからな、何かあったら後でゆっくり話を聞くから』って(笑)。最初のうちは試食会の司会をするにも、カンペを作って、集まって頂いた方々に挨拶するのが精一杯みたいな感じでしたけど、だんだん慣れてきてね。テレビ番組に出たりしてるうちにお笑い芸人みたいになっちゃって、いやあ、彼はハマりましたねえ!」
その最たる例が、今年2月4日、東海テレビ「知らないうちに激変!ニューヨークのクイズ!いつの間に!?」の再現ドラマ「東スポ餃子誕生物語」で佐藤記者が再現ドラマで見せた出色の演技。これには番組のコメンテーターも「本職の俳優みたい」と感心しきりだった。
「ホント、佐藤くんは笑いを取るのがうまい。今度は芸能プロダクションを作って、ウチのタレント第1号にしようかな(笑)」
このように、平鍋社長の一見奇抜な印象を与えるアイデアは、本業の編集に関わる部署や社員をも巻き込み、ダイナミックに展開している。これからさらに新たな事業に乗り出す計画はあるのか、それとともに東スポの紙面はどう変わっていくのか。
【後編】では、平鍋社長が描く、夕刊紙の未来図について語っている。