正月に高視聴率をマークする「格付けチェック」「駅伝」 一方でなぜ、「おせち番組」は消えたのか

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1社提供番組の行方

 一方、38年続いたTBSの情報クイズ番組「世界ふしぎ発見」が昨年3月に終了してから10カ月が過ぎた。♪この~木 なんの木 気になる木……という歌も聴かれなくなった。

 ♪光る 光る東芝……のテーマソングで知られた「東芝日曜劇場」(日曜午後9時)の1社提供スポンサーを東芝が降り、「日曜劇場」に衣替えされたのは2002年。同社は1つの番組のスポンサーとなるより、スポットCM(番組と番組の合間などに流れるCM)や複数の番組のスポンサーになるほうが効果的と判断した。

 日立の場合はちょっと違う。同社はBtoC(一般顧客向け)のビジネスが減り、BtoB(企業向け)が増えたから。家庭にメッセージを届ける1社提供スポンサーを続ける意味が乏しくなった。

 日立は昨年7月には家庭用エアコンの生産から撤退すると発表した。家電などの製造から社会インフラやIT事業を中核に据える構造転換を進めているのである。

 パナソニックは2013年、TBS「パナソニックドラマシアター」の1社提供スポンサーをやめた。こちらは宣伝費の見直しが理由だった。

 昭和期には「ナショナル劇場」と銘打たれ、♪明るいナショナル 明るいナショナル……というテーマソングが流れた。誰でも歌えた。

 創業者の松下幸之助氏が「老若男女を問わず家族で楽しめる番組を」と助言したことから、1969年から2011年まで時代劇「水戸黄門」が放送された。

 1社提供スポンサーの力は絶大だった。企画に賛同してもらえなかったら、放送できない。ボツだ。その点、3社提供、4社提供などは1社当たりの発言力が下がる。

 高額商品が飛ぶように売れた家電ブームは完全に過去のものとなった。各社ともBtoCのビジネスばかりではなくなった。ミニ番組を除くと、各家電メーカーが1社提供スポンサーになることはもうないのではないか。

 スポンサーには時代が表れる。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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