正月に高視聴率をマークする「格付けチェック」「駅伝」 一方でなぜ、「おせち番組」は消えたのか

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正月番組のトップは

 今、正月番組でトップを独走しているのは日本テレビの東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」(往路2日午前7時、復路3日同)。1979年からテレビ東京が復路のゴールだけ放送し、10%強の世帯視聴率を記録していたが、1987年から放送権が日テレへ。完全中継を始めた。すると視聴率が飛躍的に伸び、20%を超えるようになった。

 2006年以降は常に25%以上。テレビ離れがウソのよう。順位争いの行方が分からず、パターン化しようがないところも成功した理由の1つに違いない。

 興味深いのはほかの大学駅伝は世帯視聴率が軒並み低いこと。たとえばフジが放送した「出雲駅伝」(昨年10月10日)は5.8%に終わった。視聴者にとって「箱根駅伝」はほかの駅伝とは別物らしい。

 娯楽番組で人気を集めているのはテレビ朝日系「芸能人格付けチェック」。2005年から正月に放送されるようになると、常に2桁以上の世帯視聴率をマーク。20%を超えることもある。

 この番組では出演する芸能人の味覚や音感などが試される。今年は元日の午後5時から同9時まで放送され、GACKT(51)、DAIGO(46)、唐沢寿明(61)、小澤征悦(50)、岩田剛典(35)らが出演した。

 この番組はおせち番組と同じく、内容に大きな変化はない。GACKTが連勝を続けているところも代わり映えしない(今年の放送終了時点で81連勝)。しかし、おせち番組とは決定的に違うところがある。予測不可能性があり、パターン化が避けられている点だ。

 元日の放送では世界的指揮者だった故・小澤征爾氏の長男・小澤征悦が、弦楽八重奏の聴き分けに失敗。大恥をかいた。意外だった。

 同局系の料理番組「DAIGOも台所 ~きょうの献立 何にする?~」(月~金曜、午後1時30分)のメインキャラクターであるDAIGOは味音痴ぶりを露呈した。高級中華と町中華の違いが分からなかった。笑えた。順当な正解より予想外の失敗のほうがウケる。

「格付けチェック」は春や秋にも放送されているが、正月の放送でないと高視聴率にならない。たとえば昨年10月1日放送分の世帯視聴率は11.4%。視聴者はこの番組も正月とそれ以外のものでは分けている。

 テレビ局は週単位、月単位などで視聴率3冠王(全日帯・午前6~深夜0時、ゴールデン帯・午後7~同10時、プライム帯・午後7~同11時でのトップ)を競っている。年末年始の1週間も年末年始3冠王を争う。「視聴率をテレビ界が競う時代は終わった」と説く向きもあるが、実情は全く違う。

 CMの値段は昔も今も視聴率で決まるのだから当然である。その証拠に2023年度のコア視聴率(13~49歳の個人視聴率)がトップだった日テレは同年度のCM売上高も約2192億円でダントツだった。一方、全日帯(午前6時~深夜0時)の個人視聴率が4位だったフジのCM売上高は1473億円で4位にとどまった。

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