マッチングアプリで16年間の夫婦生活が終わった 46歳浮気夫と即離婚、年上妻に「情とかないのか」
浮気メッセージを見た妻は「離婚しよう」
ある晩、うっかり下のリビングに携帯電話を置き忘れた。それを妻が見てしまったらしい。ちょうど和香子さんからのメッセージが届いていて、画面に一部が映し出されていた。彼の携帯の暗証番号は瑠莉さんの誕生日だ。それを知っていた瑠莉さんはロックを解除、メッセージのやりとりを見てしまった。
「夜中にふっと目が覚めて携帯がないのに気づき、あわてて下に降りていったんです。すると妻がリビングで僕の携帯を見ているところでした。目が合って、妻が携帯を放り投げた。そして妻は言ったんです。『離婚しよう』って。なんだよ、そんな藪から棒にと言ったら、『なんとなく怪しいとは感じていた。でもここまで愛し合っている女性がいるなら、いっしょになったほうがいいでしょ』と。黙っていると『既婚者同士のただの遊びなの? そのほうがずっと不潔』って。どちらにしても離婚だというのが妻の言い分でした」
とはいえ子どももいるしとつぶやくと、子どもにはあなたから説明してと突き放された。多感な時期の10代の子どもたちに、おとうさんは恋をしてとはとても言えない。子どもの気持ちを考えてくれと彼は言った。
「わかった。じゃあ、おとうさんは仕事の関係でしばらくいっしょには暮らせないということにしよう、離婚についてはまだ知らせなくてもいいから、と。どうしてそんなに離婚を急ぐんだ、もっと考えてからにしてほしいと言うと、『薄汚いのよ、不潔なの。同じ部屋の空気も吸いたくない』と妻は激昂しました」
妻は過呼吸を起こしそうになりながら、彼を手で追い払った。本当に汚いものを見る目だった。オレはゴキブリかよ、と言いながら彼は2階へ上がった。長女が部屋から顔を覗かせていたが、彼の顔を見て「大丈夫?」とつぶやいた。
「ああ、ごめんごめんと言って作り笑顔をして。あのときの自分がなんだかとても情けなかった」
なにもかも手早い妻にうんざり
翌日、会社にいる彼に妻からメッセージがあった。会社の受付に洋服等を預けておいたから、そのままどこかに泊まってと。
「いきなりの追い出し。すごいですよね。受付に大きなスーツケースが届いていました。同僚が『旅ですか、家出ですか』と冗談めかして聞いてきたので、『どうやら追い出されたみたいだ』と言ったら、『またまた~』と笑っていたけど、こっちは泣きたい気分でしたよ。その日は会社近くのビジネスホテルに泊まり、週末にはアパートを契約しました」
妻から会社に離婚届が郵便で送られてきた。なにもかも手早い妻にうんざりしてきたと彼は振り返る。しばらく待ってほしいと妻には伝えた。
「妻も僕の顔を見なくてすむようになって、少しは落ち着いたようです。妻は激昂したあの日の翌日、『おとうさんを追い出した』と子どもたちに言ったようです。許されない裏切りがあったから、と。長女が連絡をしてきて、『本当なの?』というから、うーん、おとうさんはきみたちを裏切ったつもりはないんだけどと答えました。恋が妻への裏切りかどうかは意見が分かれるところじゃないでしょうか。まあ、一般的には裏切りなんだろうけど、どうもその言葉はしっくりこないんですよね」
和香子さんには本当のことを率直に話した。そうなんだ、と彼女は言い、どうするつもりなのかと聞かれたが、耀平さんは答えを持っていなかった。
「その後すぐ、和香子から夫が帰宅しているから、しばらく連絡しないでと言われました。こんな状態に巻き込まれたくないと思ったのかもしれませんね。恋なんていっぺんに冷めるものなんだろうと思いますよ」
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