マッチングアプリで16年間の夫婦生活が終わった 46歳浮気夫と即離婚、年上妻に「情とかないのか」

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「なぜか始めた」既婚者マッチングアプリ

 そこで彼がしたのが、既婚者マッチングアプリへの登録だった。なぜそこに至ったのかはよくわからないが、久々に学生時代の友人に会ったとき勧められたのだという。

「その場で登録はしたんですよ、ほとんど彼がやったんですが。でもそれきり見てもいなかった。でも羽を伸ばしたいと思ったとき、なぜか見てしまった。そしていろいろ操作もして、何人かとメッセージのやりとりをしました。単純に楽しかった」

 知らない人と、そして知り合う機会などなさそうな人と知り合える。話が合うか合わないか、どんな人なのか、いろいろ想像すると刺激的だった。そして彼は「とっても素敵な感じの人」である和香子さんと出会う。1ヶ月ほどメッセージだけのやりとりが続き、ようやくお互いのスケジュールが合って会うことになった。

「おいしいものでも食べましょうということになりました。僕は恋をするとか浮気をしたいとか、そんな気持ちは本当になかった。素敵な女性と外でデートしたいなあと思っただけ。新鮮な刺激がほしかっただけなんです」

 すでにある程度、お互いのことはわかっていたから初対面でもすんなり話題が広がった。彼女は結婚して15年、中学生のひとり息子がいる。夫は単身赴任中で、結婚してから3度目の単身赴任だと少し恨めしそうに言った。

「私の母が同居しているから、私は思いきり仕事ができるんだけど、夫との仲はどうかなあ。単身赴任だと戻ってきてからしばらくギクシャクするんですよね。ようやく生活のリズムが合った、夫との関係がスムーズになってきたと思うとまたいなくなる。赴任先で浮気していたこともあるしね」

 和香子さんはそんな話をさらりとした。夫婦なんて完璧を求めあっちゃだめよねと言われて、そういうものだよねと耀平さんも賛同した。そうか、オレも瑠莉に完璧を求めてはいけないんだなと納得した。

「友だちでいればよかったんですよね…」

 自分のことをよく知っているわけではない人と話すと、そうした発見があるものだ。だから人と出会って親しくなるのは楽しい。だが、それが男女の関係になるとまた、やっかいな問題が勃発する。

「友だちでいればよかったんですよね。本当はそうしたかった。でもやっぱり僕は男として寂しかったんだと思う。和香子も女として寂しかったんでしょう。同世代で互いに孤独を抱えている男と女が、ただの友だちではいられなかった」

 ふたりとも家庭を壊す気などなかった。ただ、目の前の恋に夢中になった。何もかもなくすことがあり得るとは思ってもいなかった。

「和香子は夫が家にいないから、夜もメッセージを送ってきたりする。僕も妻は義母と同じ部屋で寝ているから、寝室ではひとりなのでメッセージを返す。ときには長電話することもあった。寝室は鍵がかかるから大丈夫なんです。でもそれが慢心でしたね」

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