義両親と二世帯同居も「この人たちは信用できない…」 46歳夫が許せなかった我が子への仕打ち

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息子が生まれ、対立はさらに…

 それでも日常生活は続き、双子の娘たちが4歳になったころ、長男が産まれた。子どもが増えれば、家族への不信感も薄まっていくのではないかと耀平さんは考えたそうだ。それは「甘かった」のだが。

「息子が生まれると、義父母は息子にかかりっきり。やっぱり男の子はいいわよねと義母なんか娘たちの前で言うから、それもやめてくれと言いました。妻にも、義両親がエコひいきみたいなことをしないようにとはっきり言ったんです。娘たちがかわいそうすぎる。すると妻は『あなた、子どもたちに気を遣いすぎよ。子どもは案外強いんだから』って。強いとは限らない。望まれてないと思ったら生きる気力がわかなくなる子だっている。子どもの心がどれだけ傷つくのかは個人差もあるだろうと言うと、『子どもは強く育てなくちゃ。人間は平等じゃないんだから』と。そんなことを4歳から知る必要はないし、それは子どもが感じ取っていくことで、親や祖父母が教え込むことじゃないと言ってやりました」

 瑠莉さんが非情な母親だったわけではない。日頃は娘たちをかわいがっていたし、週末にはよく娘たちを遊びに連れていっていた。だがどうやらそれは、当時流行りだしたSNSに「かわいい娘たち」を投稿するのが目的で、リア充な自分を広く知らしめたい自己顕示欲のあらわれだったようだ。当時、耀平さんは瑠莉さんがSNSにはまっていることを知らず、共通の知人から指摘されて初めてわかった。

「10年くらい前でしたね。娘たちが小学校入学のころかなあ、『あんまり子どもの顔をさらさないほうがいいんじゃないの』と友人から言われたんです。僕はSNSにまったく興味がなかったから知らなかったけど、妻はかなり自慢していた。あわてて子どもの写真を全部、削除させました。さりげなく撮った写真だけど、近所の様子が映っているから住居も特定されやすい。子どもを危険にさらすのはやめてほしい、と言ったら、義母が『パパは神経質ねえ』って」

 イライラが募った。子どもたちも学校に入ったことだからと、耀平さんはなるべく子どもたちを早い時間に2階に引き上げさせた。瑠莉さんが残業のときは、自ら長男のめんどうをすべて見るようにした。

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 積み重なっていく義両親、そして妻への不信感。そうしたフラストレーションもあったのか、【後編】では耀平さんは思わぬ行動をとり、破滅を招いてしまう……。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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