100歳を超えても骨密度は上げられる! 高齢者が食べるべき「最強の骨太料理」とは
「たかが骨折」と軽く見てはいけない
骨折・転倒は、65歳以上の方が要介護状態になる原因の第4位ですが、実態としては、もしかしたらもっと上位なのではないかと私は考えています。なぜなら、骨折をきっかけにベッドにいることが多い生活を強いられ、その後に認知症などが進んで要介護状態になる方は、「骨折・転倒」ではなく「認知症」でカウントされている可能性があるからです。
いずれにしても、高齢者は骨折に注意を払わなければならないわけですが、特に日本人は気を付ける必要があります。骨粗鬆症に関して意識が進んでいる欧米では、大腿骨骨折の件数が横ばいか減少傾向にあるのに対し、日本では増加傾向にあるからです。
骨折は病気ではなくけがであるためか、「たかが骨折」と軽く見られているように感じます。しかし、転んだわけではなく、ゴミを拾おうとして屈んだだけなのに大腿骨が折れてしまったというケースもあり、ごくささいなことでも「要介護原因第4位」の事態は起こってしまうのです。
「いつの間にか骨折」
また、骨粗鬆症が原因の大腿骨骨折は1年以内に約3割が再発するというデータもあり、たかが骨折などと言うことは到底できない健康上の重要問題なのです。
さらに、骨粗鬆症患者は推計1280万人と、日本人の10人に1人が「骨折予備軍」の状態で、75歳以上の方の3人に1人は1年間に1回以上転ぶとのデータもあります。従って、骨活は国民的課題と呼んでも決して大げさではないのです。
転倒時に生じることが多い大腿骨骨折。一方、二大骨折のもう一つである背骨の圧迫骨折は、知らず知らずのうちに折れている場合が多く、約70%の方に自覚症状がありません。別名、「いつの間にか骨折」と呼ばれるゆえんで、70代の女性の3人に1人が、実は圧迫骨折を起こしているといわれるほどです。なぜいつの間にか骨折しているのか、そのメカニズムはまだ詳しく分かっていないところもあるのですが、加齢に伴う骨の“経年劣化”が影響しているのは間違いないといえるでしょう。
自覚症状がないまま背骨の圧迫骨折
自覚症状がなければ、気付きようがないのではないか。そう考える方もいるかもしれません。しかし、次の話をすると、思い当たる方がいるはずです。
「年のせいで、背が低くなっちゃってね。若い頃に比べると身長が数センチ縮んじゃったよ」
高齢者の中で、“軽く”こんな言葉を口にしたことがある方は少なくないと思います。老化や加齢に伴い身長は何となく縮んでいくものであって、仕方のないことなのだ、と。しかし、“何となく”背が低くなることはありません。しっかりと原因があります。その一つが背骨の圧迫骨折なのです。従って、背が低くなっている方は、自覚症状がないまま背骨の圧迫骨折を起こしている可能性が十分に考えられるのです。
あるいは壁際に立ち、後頭部とふくらはぎ周辺の両方を壁にくっつけてみてください。どちらかが壁から離れてしまう方は、やはり背骨の圧迫骨折を引き起こしている可能性があります。
背骨の圧迫骨折が怖いのは、背骨を構成する椎骨が、まさに“いつの間にか”次々と折れていくという“骨折の連鎖”が起き、背中がどんどん曲がっていって、姿勢が悪くなり、骨折に気が付く前に誤嚥性肺炎などを誘発する点です。
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