2025年パ・リーグ“新人王”は誰だ!? 低迷西武を救う「伊勢の怪物」、佐々木朗希の穴を埋めるロッテの「155キロ右腕」ほか、各球団のブレイク候補を一挙公開
9月に自己最速155キロをマークした“ポスト佐々木朗希”
ロッテは、メジャー移籍を目指して退団する佐々木朗希の穴埋めが課題となる。有力候補の1人として挙げたいのが、2022年のドラフト3位で右腕の田中晴也だ。
日本文理時代は、2年、3年と2年連続で夏の甲子園にエースとして出場。いずれも初戦で敗退したが、ストレートはコンスタントに140キロ台中盤をマークし、スカウト陣が熱い視線を送っていた。
1年目は主に体力強化とフォーム固めに費やして、二軍戦で5試合の登板に止まった。しかし、2年目は開幕から二軍で結果を残すと、6月に一軍初昇格を果たす。7月3日の日本ハム戦では、5回5安打5失点(自責点0)でプロ初勝利を掴む。結局、4試合に先発して、1勝1敗、防御率1.80。
他球団の編成担当は、田中の高い能力について、こう話している。
「2024年は二軍の先発で投げるのを見ることが多かったですが、投げる度に良くなっているように見えますね。体が大きくて、ストレートに“圧力”を感じます。コントロールが安定していて、ボールが先行することも少ない。何よりも、マウンドで堂々としている姿がいいですね。とても高卒2年目の投手には見えない。もう少し変化球が全体的によくなれば、一軍の先発投手として、十分にやれるのではないでしょうか」
一軍でシーズン最終登板となった9月16日の西武戦で、自己最速155キロをマークした田中。力で圧倒する投球は、非常に魅力的であり、“ポスト佐々木朗希”の一番手として、田中にかかる期待は大きい。
パ・リーグで、チーム防御率最下位となった楽天。先発もリリーフも世代交代が必要だが、リリーフタイプで楽しみな右腕が、2023年のドラフト3位、日当直喜である。
東海大菅生のエースとして、3年春の選抜高校野球に出場。2回戦で、沖縄尚学を相手に完封勝利をおさめる好投を見せて、評価を上げた。2024年は高校卒1年目ながら、二軍でリリーフの一角に定着。チーム3位となる30試合に登板して3勝2敗3セーブ、防御率2.01と結果を残し、10月9日の西武戦で一軍デビューを果たした。身長190cm、体重100kgと日本人離れした体格で、ストレートに威力がある。
加えて、器用さも光る。特にフォークは落差、スピードにバリエーションがあるため、相手打者から三振を奪える。体格に見合う出力が出てくれば、さらにフォークが威力を発揮する可能性は高い。このまま順調にいけば、2025年から中継ぎで一軍定着が期待できるだろう。
西武の大砲候補は大学時代“伊勢の怪物”と恐れられていた
パ・リーグ三連覇から一転して5位に沈んだオリックス。チーム最多の15本塁打を放ったセデーニョがオフに退団となり、長打力不足が課題となる。新たな中軸候補として期待したい若手が、2022年のドラフト2位、内藤鵬だ。
日本航空石川時代は、1年秋から不動の4番となり、2年春の県大会では5試合で5本塁打を放つなど活躍を見せて、オリックスに指名された。1年目に左膝、2年目には左肩をそれぞれ故障して長期離脱となり、二軍でもまだ目立った成績は残していない。
しかしながら、2024年はシーズン終盤に一軍昇格を果たし、プロ初安打をマーク。オフに台湾で行われた「2024アジアウインターベースボールリーグ」でも2本のホームランを放っている。スイングに悪いクセがなく、遠くへ飛ばすコツを持っている。怪我をせずに、1年を通じてプレーできる体力を身につけることが重要だが、若手の大砲候補は、オリックス浮上のためには欠かせないピースだけに、首脳陣の思い切った抜擢を期待したい。
2024年は、歴史的な大敗となった西武。大きな課題は、何といっても得点力不足だ。若手野手の台頭が望まれるなかで、大砲候補として楽しみな選手が、2023年のドラフト6位、村田怜音だ。
三重・相可、皇学館大を通じて全国大会の出場経験はないものの、大学時代にホームランを量産して“伊勢の怪物”と呼ばれた。
西武入団後、1年目から二軍で3割を大きく超える打率を残すと、5月に一軍昇格を果たして、5月11日の楽天戦でプロ初安打をマークしている。スタメン出場4試合目となった同15日の日本ハム戦で、一塁のファールフライを追った際にネットに激突、左膝を負傷して長期離脱となったが、1年目から大きな可能性を見せたことは間違いない。特に軽くバットを振っているようでも、遠くへ飛ばせる長打力は大きな魅力だ。
今の西武に最も不足している部分と言えるだけに、2年目はキャンプ、オープン戦からアピールして開幕からレギュラー争いに加わってもらいたい。
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