2025年パ・リーグ“新人王”は誰だ!? 低迷西武を救う「伊勢の怪物」、佐々木朗希の穴を埋めるロッテの「155キロ右腕」ほか、各球団のブレイク候補を一挙公開

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 2024年のプロ野球は、中継ぎでリーグ優勝に貢献した船迫大雅(巨人)と、10勝をマークした武内夏暉(西武)が新人王に輝いた。2025年は彼らに続く選手は出てくるのか。ルーキー以外で新人王の資格を有する若手選手の中から、各球団1人ずつ、2025年のブレイク候補を探ってみたい。前回のセ・リーグ編に続き、今回はパ・リーグ編だ。【西尾典文/野球ライター】

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投手にとって大切なことは、スピードガンの数字ではない

 4年ぶりのリーグ優勝を達成したソフトバンクは、大型左腕、前田純の飛躍が期待されている。沖縄・中部商時代は全く無名の選手だったが、日本文理大に進学後に頭角を現し、2022年に育成ドラフト10位で指名された。

ソフトバンクに入団すると、1年目から三軍、四軍で結果を残す。2年目の2024年は、開幕から二軍で好投を続けて、7月に支配下登録を勝ち取った。最終的に、ウエスタン・リーグで10勝をマークして最多勝を獲得し、防御率は1.95という見事な成績を残した。チーム関係者は、前田の強みについて、以下のように話す。

「大学時代のストレートの球速は、140キロに届かないくらいで、他球団のスカウト陣からの評価は低かったようです。ですけど、ボールの質が良いので、相手打者になかなかジャスミートされません。長身(身長189cm)の左腕で、制球力もあるところが武器ですね。投手にとって大切なことは、スピードガンの数字ではないことを示す良い例だと思いますね」

筆者が大学4年の春にピッチングを見た時も最速は135キロだったが、球筋が安定していたのをよく覚えている。

一軍初登板となった9月29日の日本ハム戦。先発のマウンドにあがった前田は、6回を四死球0、5奪三振、無失点と持ち味を存分に発揮して、プロ初勝利を飾った。ソフトバンクの若手投手といえば、大阪桐蔭出身の左腕で、2023年ドラフト1位の前田悠伍に対する注目度が高いが、“もう1人の前田”もぜひ注視して頂きたい。

調子の波は大きいが好調時のストレートはトップクラス

 2位に躍進した日本ハムでは、2023年のドラフト1位、細野晴希に注目だ。東洋大時代は、東都二部でプレーすることが多かったが、下級生の頃からスカウト陣の間で評判になっていた左腕だ。4年生になると、大学日本代表でも活躍。U18侍ジャパンとの壮行試合では、最速158キロを出して、大きな話題になった。

ルーキーイヤーの2024年は、左肩を痛めた影響で、一軍では2試合の登板で未勝利に終わったものの、ストレートは最速155キロをマークした。二軍戦は8試合に登板して、1勝0敗、防御率1.27という成績を残している。

シーズンオフに行われたフェニックスリーグでも順調な回復ぶりを見せている。調子の波が大きく、制球力に課題があるとはいえ、好調時のストレートは、一軍投手と比較しても、トップクラスの勢いがある。

さらに、大きく鋭く変化するスライダーは一級品で、ツーシームやフォークといった落ちる変化球も悪くない。日本ハムの先発左腕である山崎福也と加藤貴之は、いずれもベテランで、2025年に33歳となる。細野の成長が、今後のチームにとって大きなカギとなりそうだ。

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