50歳にして地元で初の冠番組! 「ハリウッドザコシショウ」を“やす子”“バイきんぐ”“錦鯉”が慕う理由「お笑いと心中する覚悟のあるやつは、必ず売れますよ」が
この男は必ず何かをやってくれる――ハリウッドザコシショウ(50)の「新しい笑い」への挑戦は、2025年に入っても止まらない。24年11月から、地元・静岡での初の冠番組「冠ザコシの冠冠大冠」(SBS)がスタートした。「やりたい放題」をウリにしているが、その裏には企画に対するザコシショウの飽くなきこだわりと周到な計算がある。50代を迎え、脂の乗り切ったザコシに、冠番組への抱負などを聞いた。
故郷、静岡で冠番組
番組はSBSでの放送のほか、TVerでも配信されている。既にご覧になった方もいるかもしれないが、初回から期待を裏切らない「ザコシワールド」が全開だ。「やっきりした(腹が立つ、嫌になる)」という静岡弁を紹介したかと思えば、ゲストのなだぎ武と、ですよ。で繰広げるコント「お金の虎」など、作り込んだネタを見せてくれる。第2回は24年12月28日に放送され、こちらも大反響となっている。まずは放映後の視聴者の反応はどうだったのか聞いてみた。
「ネット上でみると、かなりありました。ほとんどが“面白かった”と。とりあえずは、あのやり方でよかったんだと、ホッとしました」
番組のきっかけは1年ほど前、SBSの営業担当社員から「ザコシショウさんで冠番組をやりたい」と連絡が入ったことだった。
「嬉しかったですね。SBSは子供の頃から見ていたテレビ局ですし。それで、やるからには他の人が絶対にやらない、面白いものにしたいと思ったんです」
こんな企画を考えている――最初にザコシショウが提出した企画書には、第1回で放送された「お金の虎」の案も入っていた。だが……
「SBSのスタッフには『よくわからない』と言われてしまったんです。ローカル局なので、おそらく地元出身のオレが、毎回ゲストと共にトークをしたり、静岡県内の名所を回って食べ歩きをしたりするような、そんなイメージだったのでしょう。でも、それじゃあオレが出る意味がないというか、面白くないですよね。バラエティ番組で作り込んだネタをやる経験が少なかっただけに、オレの提案は理解できないという反応だったんです」
「お金の虎」も、もとはザコシショウがYouTubeでやっていたネタである。いつでもテレビ局からのオファーが来てもいいように、YouTubeで温めていたネタだ。だからブラシュアップを重ねて面白くさせる自信はあった。
「そこで、オレのライブなどを構成してくれているスタッフをディレクターに入れて、2人で『これは絶対に面白いから』と説得したんです。出来上がりを見たらSBSのスタッフも『面白い』と言ってくれて。実際に放映したら、さらに反響があって。結果、これでよかったんだなと、安心しました」
妥協しない番組作り
ゲストを招いてトークか食べ歩き――これだと企画に手間もかからず、収録も簡単だ。だが、それでは視聴率はもちろん、TVerの再生回数も稼げない。
「そういう番組は、オレはすでに東京でやっています。せっかく故郷で冠番組をもつのなら、今までにやったことのない企画をやった方が絶対にいいですから。だから企画に関してはとことんまで突き詰めて、自分の中でOKというラインを越えるまで粘ります。妥協するのはダメです」
というザコシショウの頭の中には、局は違うが、ある番組の思い出があるからだという。それは、静岡朝日テレビで2010~19年まで放送されていた「ピエール瀧のしょんないTV」。静岡県内の知られざる場所などを紹介する番組で、ザコシショウは「自称・準レギュラー」で出演していた。
「オレがまだ売れる前ですけど、出演させてもらって物凄い勉強になりました。瀧さんがとにかく企画にこだわって、ディレクターとの打ち合わせでも『それじゃ面白くないよ』とかなりダメ出しというか、いい意味で企画に厳しかったんです。番組があれだけ続いたのは、そうした瀧さんの姿勢があったからで、自分が冠番組を持った時は、同じようにやりたいとずっと思っていました」
ただ出演するのではなく、毎回、スタッフと企画について議論を重ねる。舞台でいうならば「座長」のような役割だが、
「全体に目を配るというのは面白さもありますが、その分、苦労もあります。今までなら考えなくてもよかったことを検討しないといけなくなりますから。一番は、やっぱりお金です。この予算だと、ゲストを呼ぶかどうか。スタジオは使えるのか、あるいはアナウンサーに出てもらうかどうかなどなど。でも、現場は毎回盛り上がって楽しんでます」
放送は25年3月まで計5回を予定しているが、放送後の反響もよく、順調にいけば4月以降も継続する可能性もあるという。
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