2025年に狙うべき投資テーマは? “女性版ウォーレン・バフェット” が注目する「4つのトレンド」
壊的イノベーションその1 「フィンテック」
まず「フィンテック」について、ウッド氏はこう説明します。
「世界がデジタルウォレットに向かって進化していると考えています。デジタルウォレットは、中国のWeChat Payが最初の例であり、私たちは、デジタルウォレットが世界中に広まり、金融サービス向けのみならず商業目的でも利用されるようになると考えています。暗号資産そのものに直接投資することはできなくても、私たちの投資先企業が暗号資産に触れているのです。暗号資産の市場は、2030年までに25兆ドル規模になると考えています」
フィンテックは、簡単に言えば「金融のデジタル化」です。これまで買い物などで決済をする必要がある時、私たちは銀行の店舗に足を運び、キャッシュカードをATM機に入れて、いくつかのボタン操作を行って現金を引き出す必要がありました。
でも、今はモバイル決済が普及してきたおかげで、わざわざATMまで足を運ばなくても済むようになりました。割り勘だって簡単にできます。さらに、コロナ禍によって非接触取引のニーズが一気に高まったことによって、モバイル決済をはじめとするフィンテックの普及が加速しました。
そもそもフィンテックのサービスが普及したのは、アフリカ大陸からということをご存 じでしょうか。2007年から始まった Mpesa (エムペサ)がそれです。Mはモバイル、pesaはスワヒリ語でお金です。つまり「モバイルお金」です。
現在、Mpesa はアフリカ大陸で年間122億件の取引があります。対して、日本における電子マネー決済の件数を見ると、2023年の政府発表数字で 61 億5600万件ですから、アフリカ大陸の半分程度しかありません。なぜ、これだけアフリカ大陸でモバイル決済が普及したのかというと、銀行口座を持てない人が多かったからです。しかも固定電話のインフラが整備されていなかったため、固定電話の前に、一気にスマートフォンが普及してしまいました。だから、あっという間に スマートフォンを用いるモバイル決済が普及したのです。
破壊的イノベーションその2 「スペース」
第2の破壊的イノベーションである「スペース(宇宙)」です。
宇宙に関しては、これはもうイーロン・マスクの世界です。地球に人が住めなくなった時に備えて、火星を人間が住める環境にし、誰もが火星まで行けるようにするには、輸送コストを下げなければならない。2002年に誕生したスペースX社のテーマは、輸送コストを下げるため、再利用可能なロケットを打ち上げるという話です。海上にスペースポートをつくり、そこに宇宙から戻ってきたロケットが着地し、そこで整備をして、再び宇宙に飛び立てるようにするのです。その前哨戦になるのがスターリンクです。
2024年6月現在で、スターリンクが打ち上げている小型衛星が6219機、地球の周りを回っていて、それを通じてインターネット通信ができるようになっています。ウッド氏が言った「現在ブロードバンドを利用していない20億から30億の人々や、ブロードバンドが非常に届きにくい遠隔地に住んでいる人々」に対して、このスターリンク(註イーロン・マスク率いるSpaceX社の衛星通話サービス)はブロードバンド通信の道を切り開いているのです。
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