工藤公康が監督をして気付いた「部下に信頼されるコツ」 声を荒らげて叱った“手痛い失敗”から学んだ「選手との向き合い方」とは

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上司として信頼されるコツ

 正直に言えば、今の若い子たちの中には、そこまでしても課題に取り組んでこない選手も多かった。でも、それでもいいんです。まずはそうやって課題をデータとして残してあげることが大事。そうすれば、本人が後になってそれを見返したときに、大切さに気付くかもしれません。それでは手遅れということもあるでしょうが、上から言われるのではなく、本人が気付かないと選手の力にはなりません。

 中間管理職という立場で、部下に何かを強制すれば「パワハラ」と言われかねない。そんな社会の風潮に戦々恐々の方もおられるでしょうが、今のリーダーは、環境を用意し、その方法論を提示して、本人が理解するのを待つのも重要です。

 そういったことを繰り返し、部下が結果を残せるようになって初めて、上司への信用が生まれる。「あの人の言う通りにやったらうまくいった」「ミスをうまく修正できた」というのが、上司として信頼されるコツだと思います。

 繰り返しになりますが、監督は、選手やコーチとフロントの間に立って、チームが機能するよう、常に準備する人間です。上層部の要望を聞きながら、リーダーとして現場を束ねる立場は大変ですが、それで結果を出す喜びは何物にも代えがたい。それがプロ野球チームの監督という中間管理職を経験した私の率直な感想です。

工藤公康(くどう・きみやす)
1963年、愛知県生まれ。名古屋電気高校(現:愛工大名電高校)卒。82年にドラフト6位で西武ライオンズに入団。以降、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズなどに在籍し、現役中に11度の日本一に輝く。2011年に引退後、15年から7年間にわたり福岡ソフトバンクホークスの監督を務める。主な著作に『プロ野球の監督は中間管理職である』など。

週刊新潮 2024年12月26日号掲載

特別読物「部下指導に悩む人は必読 工藤公康が語る『監督は中間管理職』」より

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