佐々木朗希もメジャー挑戦へ 第1号のイチロー、史上最高額のダルビッシュ…「大型契約」の“ポスティング移籍史”を振り返る
入札金額の高騰による制度修正も行われた
この松坂の金額を更新したのが、2011年オフのダルビッシュ有である。
日本ハム入団後、7年間で最優秀防御率2度(2年連続)、最多奪三振3度、2007年に最高勝率と沢村賞に輝いたダルビッシュは12月8日、自身のブログに「この度、ダルビッシュ有はポスティングシステムを利用する事を決めました」と綴り、正式にメジャー挑戦を表明。
日本ハムも同日、「極めて苦渋の選択を迫られましたが、最終的にはチームに対する貢献と圧倒的な功績に敬意を表し、日本プロ野球の未来のためにもメジャーリーグで最高の投手になってもらいたいと考え、重大なる決意を持って受諾することといたしました」とメジャー移籍を承認した。
その後、レンジャーズが松坂を59万2300ドル上回る5170万3411ドルで落札し、日本人史上最高額になった。ただし、当時は1ドル約77円と最もドル安が進んだ時期だったため、円換算では約40億円と松坂を下回った。
入札最高額の球団に独占交渉権が与えられていたポスティングは、入札金額の高騰により、12年オフに一度失効。修正会議を経て、13年オフ以降は、上限なしから上限2000万ドルに改められ、2018年オフからは、選手が自由にMLB各球団と交渉し、契約金額によって、譲渡金額も変動する方式に改められた。
佐々木はマイナー契約からスタート
12年以前とは計算方式が異なるものの、ダルビッシュ、松坂に次いで日本人史上3位の譲渡金5062万5000ドルでドジャースに移籍したのが、オリックス・山本由伸である。
ダルビッシュのケースとは逆に、折からの円安を受けて、日本円換算では松坂を約15億円上回る史上最高額の約75億円になった。
23歳の佐々木は、プロ6年未満の海外の選手を対象とする“青田買い防止”の「25歳ルール」が適用され、契約はマイナー、契約金も各球団が持つ「インターナショナル・サイニング・プール」枠(年間500~700万ドル程度)の範囲内に制限される。
当初はプール金250万ドルを残すドジャースが有力視されていたが、契約時期が新年度に切り替わる来年1月15日以降の可能性が強くなったことから、そうなればプール金もリセットされ、球団の選択肢も広がりそうだ。今後の成り行きが注目される。
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