奇想天外な作戦が炸裂! 日本ハム「新庄剛志監督」が見せた2024年の“名&珍“場面集
2024年シーズンでは、就任3年目を迎えた日本ハム・新庄剛志監督が、2年連続最下位のチームを2位まで躍進させ、常識にとらわれない“観ピューター”采配や奇抜なパフォーマンスで、ファンを楽しませてくれた。そんな“新庄劇場”の名場面、珍場面をプレイバックしてみよう。【久保田龍雄/ライター】
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「あと1回やったら退場」と警告された
古巣・阪神時代のユニホーム姿で登場し、スタンドを沸かせたのが、5月29日、甲子園で行われた交流戦、阪神戦だった。
事前にサプライズがあることを予告していた新庄監督だったが、内容については、周囲に明かさず、1ヵ月前から秘密裏に準備していたという。
そして、試合前のメンバー表交換の際に、阪神入団時の背番号63、「新庄監督」のネーム入りの縦じまのユニホーム姿で颯爽と登場。事前に何も聞かされていなかった岡田彰布監督を驚かせ、スタンドの阪神ファンからは、やんやの大喝采を受けた。
日本ハム選手時代の2006年にも阪神のユニホーム姿でシートノックを受け、「(ヒルマン)監督にめっちゃ怒られた」そうだが、「監督の自分がやったら怒られる人いないかなって(笑)」と開き直り、怒られることも前提に罰金を用意していた。
はたして、NPBからすぐさま警告が入り、「柔道でいう有効、技あり?『あと1回やったら退場』って警告が来て。(背番号)5番のユニホームも用意してたんですよ。(サプライズを)あと1回……。でも、退場は嫌やしなあ」と茶目っ気たっぷりの表情を見せた。
指揮官のビックリパフォーマンスが功を奏してか、日本ハムは2回に野選絡みで2点を先制すると、5回に万波中正の2ラン、7回には水谷瞬の2点タイムリーが飛び出すなど、前年のチャンピオンチームを終始圧倒し、8対2で快勝。
就任1年目に3連敗を喫した甲子園で念願の監督初勝利を手にした新庄監督は「(この1勝は)大きい。強いなあ。ファイターズ変わったなあと思ってくれたと思うし、こういう戦い方をして、セ・リーグはタイガース、パ・リーグはファイターズのファンになってくれるきっかけになってくれたら、うれしいですね」と古巣のファンにエールを贈っていた。
「2者連続はよっぽど度胸がないとできない」
あっと驚く2者連続初球スクイズを成功させたのが、8月14日のロッテ戦だった。
2回に敵失で1点を勝ち越した日本ハムは、なおも無死二、三塁のチャンスに、ベンチのサインはスクイズ。「予想していなかった」という伏見寅威だったが、「執念」でメルセデスの低め直球に膝をつきながら、初球スクイズを決め、3点目を挙げる。なおも1死三塁から、次打者・水谷も「寅威さんの真似をしました」と低め球に膝をついて連続初球スクイズを成功させ、2人で貴重な2点を追加。試合も4対1と快勝し、一夜で2位再浮上をはたした。
前年6月24日の同一カードでは、同点の9回無死二、三塁で石井一成が4球目とフルカウントから連続スクイズ失敗で2走者がタッチアウト。その裏にサヨナラ負けしていたとあって、新庄監督は「男なら借りは返さなければいけないので、よく決めてくれましたね。選手たちは」とガッツポーズで喜びを表現した。
実は、この日行われた夏の甲子園大会で、母校・西日本短大付が大会最多の13点目をスクイズで挙げたことがヒントになったという。
この奇策については、元中日監督の落合博満氏も「2者連続のスクイズは、よっぽど度胸がないとできない」と称賛していた。
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