「自分が真っ二つになった」声優・林原めぐみが苦手な歌手活動を33年も続ける理由
今年10月から放送・配信中のTVアニメ『らんま1/2』で、35年ぶりに「女らんま」を続役していることで話題の声優・林原めぐみ。日本を代表する声優の彼女は、同時に歌手としても活躍し数多くの作品を発表してきた。12月18日には、自ら作詞したニューシングル「Gathering」をリリースした。33年間にわたり歌手活動を続けている林原だが、歌うことは「昔も今も得意ではない」という。では、なぜ歌い続けるのか。
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――林原さんは1991年にデビューシングルである「虹色のSneaker」をリリースされ、“声優アーティスト”として早い段階から楽曲がオリコンTOP10入りしました。「声優が歌も歌う」という文化は林原さんによって築かれたともいえます。しかし、当初は歌手活動にあまり気が進まなかったと聞きました。
林原:33年間も歌ってきましたが、「本当に私が歌っていいんだろうか」という意識はずっとあります。何かのメッセージを歌に落とし込むことが一つの「役割」として感じているから歌えているんだと思います。生まれながらの歌姫も、オーディションに落ちてしまう歌唱力のある方も沢山いる中で、「たまたま声優だったから」「たまたま歌うチャンスがあったから」という「たまたま」に乗っかり続けてここまで来てしまった。それでいいものだろうか、と申し訳ない気持ちはあります。
――でも、気の進まない「たまたま」に乗っかり続けられたのはすごいことですよね。会社員でも、興味のない仕事を振られたり、まったく違う部署に異動させられたりすることがありますが、そういうときに目の前の仕事に真剣に向き合うのは難しいものです。
林原:抱えきれない石は降ってこないと勝手に思っているので、「この石を面白がってみよう」という気持ちで歌ってきました。CDジャケットやPVの撮影も苦手だったんですけど、現場に行ってみるとメイクさんの素晴らしい技術を学べたり、カメラマンさんの光に対する探求心と出合えたり、観察し始めたら知らなかったことだらけで、それを知ることが私にとって喜びだったんですよね。展覧会に行くにしても、誰かの写真集を見るにしても、「この1枚にどれだけの人の想いが詰まっているんだろう」と想像するようになって、受け手として作品と対峙したときの楽しみ方もすごく変わりました。
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