文化財の“廃墟”をどこまで修復すべき? ツアー大盛況「摩耶観光ホテル」がいま抱える難題
廃墟として初めて国の有形文化財に登録された稀有な建築物、兵庫県神戸市の旧摩耶観光ホテルで、新たな取り組みが始まっている。背景には自然の猛威による存続の危機と、予想を上回る保存の難しさがあるという。どういうことか。現地で取材した。【華川富士也/ライター】
旧摩耶観光ホテル(通称マヤカン)は、神戸市の摩耶山の中腹にポツンと残るホテル廃墟。昭和初期に当時流行していたアールデコ様式を取り入れて建築された。アールデコならではの美しさは朽ちても変わらず、“廃墟の女王”として以前から廃墟ファンの間ではよく知られた存在だった。...