幼い観戦者がサインボールを大人に奪われ…試合中の「デシャンボー」がとった驚きの行動とは【2024年ゴルフメジャー4大会総括】
全英オープン勝利で「メジャー2勝のシャウフェレ」に
7月にスコットランドのロイヤル・トゥルーンで開催された全英オープンは、2024年のメジャー・シーズンを締めくくる今季最後のメジャー大会だった。
その賞金額は優勝賞金が310万ドル、賞金総額が1700万ドルで、どちらも全英オープン史上、最高額。しかし、その金額が今年のメジャー4大会の中では、あえて最低額に設定されていたことはとても興味深く、R&Aによる勇気ある決断だったと私は思う。
R&Aのマーチン・スランバーズCEOは「昨今の男子プロゴルフにおける賞金の著しい高騰化がスポーツのイメージに与える影響が危惧されてならない。私たちR&Aは、ゴルフ界の経済的なサステナビリティを考えていかなければならない」と語っていた。
その通り、近年のゴルフ界では、メジャー大会の賞金額が毎年のように「史上最高」となり、PGAツアーでは賞金総額2000万ドルのシグネチャー・イベントが年間8試合も開催されている。PGAツアーが誇る「第5のメジャー」、プレーヤーズ選手権の今年の賞金総額は、これらのすべてを上回る2500万ドルまで引き上げられた。
そんな中、選手たちが戦う目的と意味が「マネー・オンリー」になってしまうことを危惧したR&Aが、今年の全英オープンの賞金額を他のメジャー大会より、やや低め、控えめに設定した。このことは、今後のゴルフ界のサステナビリティを考える際に、大いに参照すべき姿勢だと感じさせられた。
そして、ロイヤル・トゥルーンで勝利したのは、今年の全米プロを制したばかりだったシャウフェレだった。これまで長年、「メジャー・タイトル無きグッドプレーヤー」と呼ばれたシャウフェレが、ついに今年「メジャー2勝のシャウフェレ」になったことは、賞金の高額化が著しい昨今のゴルフ界にいまなお、お金では買えない「夢」があることを示してくれたのではないだろうか。
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