本当に日本が終わる…予想より20年以上早い出生数70万人割れ “なにもない”地方に求めたいこと

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「少母化」を食い止める唯一の方法

 とはいえ、この少子化を前に手をこまねいていては困る。石破総理は「少子化の本質は母が少ない『少母化』」と語っていた。問題は子育て以前の出産にあるので、子育て支援として金をばらまく以前に、子供を産んでもいい、産みたいと思わせることこそが大事だ、という主張だと私は解釈している。それは正しい認識だと思う。

 少子化はジェンダーフリーや男女共同参画と切り離せない。子供は女性にしか生むことができない。それは未来永劫変わらない真理である。しかし、性差による社会的な役割分担が否定されれば、なぜ出産という、男性は負わずに済む負担を負わなければならないのか、という疑問をいだく女性が増えるのは当然だろう。

 そんな女性の疑問、または不満に応えるには、たとえば出産は、産休や育休が明ければ女性が希望した職場に戻れる、しかも降格したりせずに戻れる、といった環境を整備することが大事ではないのか。すなわち、子供を産まずにすむ男性にくらべ、女性が不利になることはない、と実感できる環境づくりこそが、少子化を多少なりとも食い止めることにつながるはずである。

 石破総理の意識はいい。あとは力強く実効性がある政策に置き換えることができるかどうかにかかっている。

香原斗志(かはら・とし)
音楽評論家・歴史評論家。神奈川県出身。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。著書に『カラー版 東京で見つける江戸』『教養としての日本の城』(ともに平凡社新書)。音楽、美術、建築などヨーロッパ文化にも精通し、オペラを中心としたクラシック音楽の評論活動も行っている。関連する著書に『イタリア・オペラを疑え!』(アルテスパブリッシング)など。

デイリー新潮編集部

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