神木隆之介の「1人2役」すら、大いなるどんでん返しへの“伏線”だった 「海に眠るダイヤモンド」の仕掛けに驚嘆

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70年間の人間ドラマ

 12月22日の放送でもなお“ロス”が止まらない、TBS系の日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」。「逃げるは恥だが役に立つ」や「アンナチュラル」を手がけた野木亜紀子氏の脚本のおかげで、いたるところに視聴者が気になる伏線がちりばめられ、ストーリーが進むごとに沼にはまっていく。そして最終回は、見事などんでん返しを用意していた。(※以下、ネタバレを含みます)【大宮高史/ライター】

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 1955年の長崎・端島から、現代までおよそ70年間の人間ドラマを描き切った本作。軍艦島こと端島に生きる青年・荒木鉄平と、2018年の東京に生きるホストの玲央。2人を神木隆之介が1人2役で演じ、彼らの周りにいる人々の人生を描いていく。昭和と21世紀を行き来する展開に、ファンからは考察や憶測が飛び交った。

 まず、第1話で暗い海の上で、小舟に乗って島を出て行くのは何者か? 赤子の泣き声が聞こえていたのも不穏だった。

 そしてホストの玲央に声をかけた2018年のいづみ(宮本信子)は過去の誰なのか? 鉄平の幼馴染の朝子(杉咲花)と百合子(土屋太鳳)、それに島にやってきた謎めいた女性リナ(池田エライザ)、あるいは彼女たちの子どもの可能性も考えられたが、第5話で朝子だと判明。鉄平と賢将(清水尋也)はそれぞれ誰と結ばれるのか? もファンの興味を引いたが、物語が進むにつれ鉄平は朝子と、賢将は百合子と両想いになっていく。ほかにも、玲央と鉄平には血縁関係はあるのか? いづみの秘書の澤田(酒向芳)の正体は? といった謎が好奇心をかき立てた。

 そんな中で起きる事件は容赦なく人々の運命を変えていく。リナと夫婦になった鉄平の兄の進平(斎藤工)は息子の誠を遺して坑内火災で死んでしまうし、物語冒頭の舟に乗っていたのは鉄平とリナ、誠だったことも明かされる。朝子との恋が進展していた鉄平がなぜ? 最終回はこれらの謎も見事に回収しつつ、大いなるどんでん返しが用意してあった。

 端島を訪れたいづみと玲央は、賢将の息子からもらった端島の映像を見る。するとそこに映っていたモノクロの鉄平を見た玲央は、「俺、似てる?」といい、いづみも「似てない…ね」とうなずく。確かによく見比べてみると、映像の中の「本当」の鉄平は神木が演じたいままでの鉄平より、少しふっくらした顔立ちに見える。実際にこのワンシーンのためだけに、神木とは別の俳優が演じていた。

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