57歳おじさん消費経済アナリストの「2024年“誰得ベストバイ”」7つを発表します

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7つ目は、"バブル期の本"

「『NO』と言える日本 新日米関係の方策」(光文社) 著・盛田昭夫/石原慎太郎Amazonマーケットプレイスで送料等込中古で800円

 日本が平成デフレから脱却出来るか出来ないかの瀬戸際という2024年。日本の経済が元気で筆者が大学4年生だったバブルの最高期、1989年のビジネス書の大ベストセラーを改めて読んでみました。

 ソニー創業者の盛田昭夫氏と元東京都知事の石原慎太郎氏の共著です。石原パートと盛田パートが分かれている書簡のような構成です。印象に残ったものはまず、

「仮に日本が半導体をソ連に売ってアメリカに売らないと言えばそれだけで軍事力のバランスががらりと様相を変えてしまう」(石原パート)

 という箇所。平成に半導体の覇権を失ってしまった日本は、今、国としてそれを取り戻そうしている。それと、

「一つの例ですが、日本のリニアをソビエトからオファーさせてみればいい。当然ココムに引っ掛かります」(石原パート)

 ココムとは、冷戦時代、西側諸国による戦略物資の輸出規制を目的とした国際的な組織だそうです。日本のリニアは、開通こそ2035年前後となりそうですが、鉄道としては世界最高の技術・性能面を誇る超伝導リニアで、世界的にも販売が見込める可能性が高いといいます。その販売先をどうするか、は課題でしょうね。

 上記の引用部分はほんの一例ですが、35年前の課題提起が今もそれを引き摺っていると読んでいて感じました。日本が勢いのある時代に戻るためには、当時の考え方を取り戻すのは大事だと思うので、昔の本だけどベストバイに入れてみました。さらに10年前の1979年の高度経済成長後に書かれたエズラ・ヴォーゲル著『ジャパン・アズ・ナンバーワン』もオススメです。

 世のヒット商品ランキングとは全く違ったベストバイになっていたと思います。消費が多様化しているので当たり前なのですが、みなさま自身のベストバイも頭に思い浮かべて見ると、自分の傾向も分かり、より消費が楽しくなってくると思います。日本のGDPの55%前後が個人消費。楽しく消費して日本経済の落ち込みをストップさせましょう!

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
消費経済アナリスト、流通アナリスト、コンビニジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務などの活動の傍ら、全国で講演活動を行っている(依頼はやらまいかマーケティングまで)。フジテレビ「FNN Live News α」レギュラーコメンテーター、TOKYO FM「馬渕・渡辺の#ビジトピ」パーソナリティ。近著『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』(フォレスト出版)。

デイリー新潮編集部

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