「パーカーおじさん」に「マスゴミ批判」も…ネット界隈を盛り上げた2024年「10大ニュース」を振り返る

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箸の持ち方が汚い

「鉄オタ」「キャンディーズが好き」「アンパンマンに似ている」「ある年の夏の選挙では真っ黒になりネットでは『焦げパンマン』と呼ばれた」「安倍晋三氏の葬儀ではマスクを忘れて秘書が着用していたものを平然と受け取り、着けた」「取材陣の前にずれたマスクで登場した」というお笑い要員のように思っていたのである。

 だが、どこかリーダーシップと頭の切れ味があるのだろうな、と期待はしていたのだが、就任後ネットでは、やはりお笑い要員になっている。まずは、閣僚が揃って官邸のレッドカーペットの階段で記念撮影をする時、石破氏のズボンの裾がよれよれになっており、サイズが長すぎる。しかも、ガニマタだし、モーニングの下からは白いシャツが見えていて腹が露出していると勘違いする人もいた。

 外交デビューとなったASEAN首脳会議の会議開始前、各国首脳がにこやかに挨拶している中、石破氏は資料を読んだりスマホを見たりしている。カナダのトルドー首相らは親切に挨拶に来てくれたが、石破氏は座ったまま。さらに、集合写真撮影に当たっては渋滞にハマり、撮影に間に合わない始末。

 その後も過去映像から「箸の持ち方が汚い」「口の外におにぎりが出たまま咀嚼している」など、これまたネタ要員としての姿を発掘された。

桐島聡逮捕

【8】クマを駆除しないよう請願が出る
 人を殺す可能性のあるクマを殺すと、その指示を出した自治体とハンター本人に批判の電話が多数寄せられるという。ほとんどが県外からで、曰く「クマが可哀想!」というもの。いやさ、クマを飼っていた男性が殺されたりするわけですよ。犬や猫とは違うんですよ。イタチやカワウソだってペットとして飼うのは難しいわけで、クマを飼うなんて不可能。電話をする人は熊のプーさんやくまモンのようなかわいらしいクマを想像しているのだろうが、猛獣です。殺してほしくないのなら引き取ってください。人間の生活と交わる場合、駆除せざるを得ないのです。

【9】パリ五輪で阿部詩らに誹謗中傷
 パリ五輪ではフランスやEU各国優位の判定が多数出て、日本はメダルを失った面もあるが、理不尽だったのが金メダル候補・柔道女子52kg級の阿部詩。試合後、大声で泣き叫んだことから「うるさい」とネットに書かれ、さらにはメダルを取らなかったことまで批判された。

 本人が一番悔しいのだから、そんなに罵詈雑言を浴びせないでもいいではありませんか、と思ったのだが、当初の期待が大きかっただけについキツい書き込みをしてしまった人も多いだろう。次はちゃんと応援してくださいね。

【10】桐島聡逮捕
 1月25日、1975年の連続企業爆破事件の容疑者・桐島聡が逮捕された。約50年逃走した末だったことがネットを驚かせたが、メガネでニッコリ笑うフォークシンガー風ルックスの男の指名手配写真はあまりにも有名だっただけに「こいつがこんな風貌になってるの?」と驚かれたのだ。

 そして、桐島は逮捕直後に自分が桐島であることを告白して死亡。まさに国家との勝負に勝ったのである。この頃、Xで流行ったのが、メガネで髪の毛の長い男性が桐島の指名手配写真の隣に立つツーショット写真を公開することである。確かに桐島タイプの男性は時々見かける。知人の編集者・おぐらりゅうじ氏もソックリなため、「桐島に似てるって言われません?」とメールを書いたところ、「もう30回も言われています……」と嘆いていた。

 なお、この写真にはオチが付き、2020年に長野県の宮田村で殺人未遂事件を起こした金成行容疑者が2月1日に逮捕されたのだ。そしてこの男は桐島の写真の隣に写っている男だったのである。

 さて、来年も皆さん良い年にしましょう。今年もどうもありがとうございました!

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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