阪神に残った大山は「大正解」、クビをかしげる田中将大と甲斐の獲得…巨人の大型補強にはどこか釈然としない【柴田勲のコラム】
DeNAに敗れた巨人の大型補強
2024年が暮れようとしている。
プロ野球界もさまざまなことがあったが、巨人を振り返ると、4年ぶりにリーグ優勝を達成してくれた。OBとしてうれしかった。でも、残念だったのはクライマックスシリーズのファイナルステージでシーズン16勝したDeNAに敗れたことだ。
【図表】有名選手の多さに改めて衝撃…巨人が“ゲット”したFA選手たち
1勝のアドバンテージがあるだけに順調に勝ち上がるだろうと見ていたが、6試合で9得点、本塁打は出たけどタイムリーは1本だけじゃなかったか。これはキツい。信じられない負け方だった。
その巨人が今オフ、大型補強を敢行している。
まず楽天から自由契約となった田中将大投手を獲得すると、前中日のライデル・マルティネス投手と大型契約を結び、さらにソフトバンクから国内FA権を行使した甲斐拓也捕手との契約となった。
3連発に続いて前パイレーツのトレイ・キャベッジ外野手を獲得した。3Aでトリプルスリーを達成した左の外野手だ。
今回の大型補強、果たして阿部主導によるものなのか、それともフロント主導なのか。そのあたりの事情は分からないが、ハアッとクビをかしげるのは田中将と甲斐の獲得だ。
田中将がリーダーになれるのか?
マルティネス、これはもう日本球界を代表する守護神だ。巨人には抑えに大勢がいるが二枚看板として起用するのか、大勢をセットアッパーとして7、8回を任せるのか。まあ、大金はかかったと思うが、ブルペンの層はさらに厚みが増す。これは大きい。
だが、田中将がどれだけ戦力としてやれるのか。確かに過去の実績がある投手だけど、11月に楽天を退団してからどこの球団も手を出さなかった。これが正直な評価だ。
坂本勇人と田中将は小学生時代にバッテリーを組んでいた間柄だ。仲が良く、坂本から阿部慎之助監督かフロントに獲得をお願いしたのではないか。こんなことも考えられる。
阿部監督は「(菅野)智之が抜けてピッチャーのチームリーダーみたいな存在がいなくなる」と獲得に至った理由を話していた。菅野智之がメジャーに移籍した。リーグ最多15勝右腕がいなくなった。
リーダーとは先頭に立って活躍する選手のことである。投手なら連敗を止める。ここぞの試合で勝つ。今年、巨人にとってのエースは戸郷翔征だった。菅野は戸郷より勝ち星を稼いだが、だれもエースとは呼ばなかった。
田中将はこれまでの経験を若手投手陣に教えることはできるだろう。だが、リーダーとはなにか。勝てる投手だ。1試合は先発で使うだろう。以後はその結果次第だが、田中将がリーダーになることができるのか。疑問に思っている。
[1/2ページ]