「愛妻と愛犬、宝物に見守られ…」 小倉智昭さんの最期と、5万点のコレクションの行方は
フリーアナウンサーの小倉智昭さんが今月9日、膀胱がんのため亡くなった。享年77。コレクターとしても知られた小倉さんは、膨大なコレクション群を昨年秋に自宅へと移し、最期は家族だけでなく、「自分の歴史」と語った収集品の数々に見守られながら息を引き取ったという。
【写真を見る】マニア垂涎の品も多数 5万点に及ぶコレクションを収集していた小倉さん
12月16日、小倉さんの所属事務所は「葬儀が滞りなく」執り行われたことを報告。当日は「うららかで雲ひとつない空」が広がり、参列者は深い哀悼とともに最後のお別れをしたという。
「2016年に膀胱がんを公表し、2年後に膀胱を全摘出して以降、闘病生活を送っていた小倉さんですが、今年1月に医師から“余命1年半”と告げられていました。しかし11月に腰椎や骨盤などへの転移が見つかり、12月に入って体調が急変。突然の訃報となりました」(スポーツ紙デスク)
「数百万円のものもあれば、不動産のチラシなども」
小倉さんといえば、最大時で5万点以上に上ったコレクションの収集家としても有名だった。
本やCD、DVD、ギターに高級腕時計などジャンルは多岐にわたり、「自分の歴史のようなもの」と周囲に語っていた。長年のゴルフ仲間の一人がこう話す。
「他にも絵画や鉄道模型、希少材を使ったオーダーメイドのゴルフクラブもありました。数百万円の値が付くコレクションがある一方で、数十年前の不動産のチラシや家電の取扱説明書なども大切に保管していて、小倉さんの愛着や関心の広さに驚かされたものです」
「小倉ベース」と呼ばれたコレクションの保管先は、都内中野区に建つビルの4フロアを長く占有した。しかし昨年、引っ越しを決意。
「22年秋ごろでした。当時、小倉さんはキイトルーダという免疫チェックポイント阻害薬を使った抗がん剤治療を受け、肺にあったがんがほぼ消失。ただ激しい副作用に悩まされ、“三途の川を見た”と話していた。その体験を機に身辺整理を本気で考え始めたそうです」(同)
22年間にわたってMCを務めた情報番組「とくダネ!」が終了したのは21年3月。がんの肺への転移が判明したのは、そのしばらく後だった。
すべてを注ぎ込んだ
「保管場所の移転を決めたもう一つの理由が“節約”でした。もともと小倉さんは焼き肉店やラーメン店のほか、通販会社を経営していましたが、番組終了後はそれら事業に専念する形に。しかし転移やコロナ禍が重なり、想定外の出費を迫られたのです」(前出のゴルフ仲間)
今年2月に出した社会学者・古市憲寿氏との共著『本音』(新潮新書)の中で、小倉さんは当時をこう振り返っている。
〈(会社の)運転資金も大変だったし、今まで一生懸命稼いだものをみんな注ぎ込んでいた部分があって〉
ゴルフ仲間が補足する。
「運転資金や小倉ベースの家賃などで月800万円ほどが持ち出しになっていたそうです。“全盛期の年収は6億円”だったものの“最後は約3分の1にダウンした”とも話していました」
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