「性的暴行を受けたのに“PTSDは詐病”とデマを流され…」 元大阪地検検事正が一転して無罪を主張する背景 「刑が軽くなることを戦略的に描いている」

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「少しでも刑を軽くするために……」

 無罪を主張することに転じた“元凶”には、副検事の女性が大いに絡んでいたわけだが、他にも狙いがあるという指摘も。

「被害者は厳罰を望んでいましたので、このまま事実を認めていると、長期にわたる懲役刑が科せられるということで、少しでも刑を軽くするために、“同意があったと思った”と否認するスタンスを取ったのではないでしょうか」

 とは、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏。

「裁判官が、初公判で事実を認めていた状況に比べれば、同意があったと思ったとの否認供述をされることによって、強制に関して確定的故意ないし犯意があったとまではいえないという認定になり、刑が軽くなる可能性が出てきます。北川被告は長らく検事をやっていた刑事事件のプロですから、今回のような弁明で無罪になるとは思っていないでしょうが、事実認定が弱くなることで、刑が軽くなることを戦略的に描いた可能性はあります」

「性犯罪の撲滅を阻害し、むしろ助長することになる」

 被害を訴えた女性検事は、先の会見で北川被告の主張について、

「今後多くの性犯罪者に“同意があったと思っていた”と主張させて、性犯罪の撲滅を阻害し、むしろ助長することになる」

 と非難している。

 改めて若狭氏に聞くと、

「北川被告は検察組織に迷惑をかけたくないから初公判では事実を認めた、と述べていますが、主張を翻して、こういう弁解をすると刑が軽くなるということを多くの人に知らしめてしまえば、検察への逆風になってしまいます。それこそが、検察に一番迷惑をかける行為だと思いますね」

 検察組織、ホラ吹き副検事、そして検察OBとしての名誉と過去の名声――。裁判で供述を変遷させてまで、北川被告が守り抜きたいものとは、はたして何なのだろうか。

 前編【「酩酊した女性部下に無理やり行為を…」 元大阪地検検事正が「無罪を主張」、事件のカギを握る「ホラ吹き女性副検事」】では、一転して無罪を主張した北川被告の「理解に苦しむ理屈」について報じている。

週刊新潮 2024年12月26日号掲載

特集「大阪地検元検事正は無罪主張の掌返し 女性検事『性的暴行事件』の“元凶”はホラ吹き女性副検事だった」より

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