「読売の意向には逆らえない」 ますます進む読売新聞の“テレビ支配” 地方の名物番組は消えてしまうのか

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読売主導の経営統合

 日本テレビ系列の札幌テレビ(札幌市)、中京テレビ(名古屋市)、読売テレビ(大阪市)、福岡放送(福岡市)の4社が来年4月に経営統合し、認定放送持ち株会社「読売中京FSホールディングス」(FYCSホールディングス、以下FYCS)を設立する。まだ明かされていない経営統合の狙いを探った。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 日テレと親会社である読売新聞の関係は一枚岩とは言いがたい。テレビ界ではよく知られていることだ。それを踏まえないと、FYCS誕生の深層は見えてこない。

「今回の経営統合は読売の主導で行われた。統合には読売が系列局への支配力をより強めるという狙いもある。読売は新聞の成長が見込めなくなった10年以上前から、テレビへの関心を深めていた」(日テレ幹部)

 日テレを統治しているのは読売。それはトップ人事を見れば一目瞭然である。

 2025年1月1日に持ち株会社の日本テレビホールディングス(HD)の社長に就くのは、日テレの社内外で人望が厚い生え抜きの福田博之氏(63)だが、日テレHDのトップである代表取締役会議長の山口寿一氏(67)は読売新聞グループ本社社長である。

 山口氏はこのほど他界した同社代表取締役主筆・渡辺恒雄氏が決めた後継者。読売ジャイアンツのオーナーでもある。日テレHD会長の杉山美邦氏(70)も元読売新聞大阪本社の社長だ。

 日テレの社長も同1月1日以降は福田氏だが、会長は杉山氏。日テレの長い歴史の中で生え抜きがトップだった時代はないに等しい。これに対する日テレの不満が読売と一枚岩になりにくい理由の1つになっている。

 それでいて責任は日テレの生え抜き組が取らされることが目立つ。

 2003年の視聴率買収問題のときも生え抜きで日テレ躍進の立て役者だった萩原敏雄社長が副社長に降格となり、やがて東京ヴェルディの社長に出されてしまった。一方、元読売新聞常務取締役で会長の故・氏家齊一郎氏の立場はそのままだった。

「現場でも読売の意向は押し付けられる」(日テレ社員)

 一例は読売ジャイアンツ戦の中継。巨人は読売新聞グループ本社の子会社だが、日テレ社員がそろってファンというわけではない。

 それでも2024年のシーズンは日テレが30試合近くも中継した。視聴率が獲れないことは分かっていた。3月29日午後7時から放送した阪神との開幕戦のナイターすら個人視聴率は5.4%(世帯9.2%)に過ぎなかった。

 日テレとしては通常番組を放送したほうがいいのである。巨人戦はCSの日テレジータスかBS日テレでやりたい。

「それでも読売の意向には逆らえない」(日テレ社員)

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