新たな「育成の星」を探せ…巨人の右腕、DeNA&オリックスの左腕に大注目!ソフトバンクの捕手も有望株

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オリックスの2年目左腕に飛躍の兆し

 一方、パ・リーグはどうか。飛躍の兆しが見られるのが、左腕の大江海透(オリックス)だ。久留米工大時代は全国的に無名だったが、当時から力強いボールを投げていた。同じリーグの西日本工大で活躍していた隅田知一郎(現・西武)を視察したスカウトが、大江の投球を見て「これが隅田か?」と一瞬、間違えていたことをよく覚えている。

 大学卒業後は、独立リーグの九州アジアリーグ・北九州で力をつけて、2023年の育成ドラフト2位で指名された。

 ルーキーイヤーの2024年は、二軍で19試合に登板して、防御率6.01と今一つだったが、台湾で開催されたウインターリーグでは10試合、12回を投げて2失点、14奪三振、防御率0.75と抜群の成績を残した。

 たくましい体格から投げ込むストレートは勢い十分で、左投手らしいボールの角度がある。制球力に課題が残るものの、オリックスで左腕のリリーフは、ベテランの山田修義ぐらいしか安定した投手がおらず、大江が入り込む余地は十分にありそうだ。

一軍戦力として活躍の可能性があるソフトバンクの“強打捕手”

 続いて、2024年のドラフト会議に指名された選手を見ていこう。ソフトバンクの育成2位で捕手の大友宗は、ルーキーイヤーから一軍の戦力になる可能性がありそうだ。

 帝京大時代から“強打の捕手”として注目を集めていた大友。大学卒業後は社会人野球の強豪チーム、日本通運に進んだが、出場機会を求めて、2024年にBCリーグの茨城に移籍した。BCリーグの選抜チームにたびたび選出されて、NPB球団の二軍を相手に見事なプレーを見せて、わずか1年でドラフト指名を勝ち取った。

 他球団のスカウトは、大友について、以下のように評している。

「社会人野球でプレーした経験があり、守備と打撃はかなり高いレベルにあることは間違いありません。どんな投手のボールも落ち着いて受けていますし、送球は速くて正確です。打撃は少しムラがありますが、飛ばす力は魅力です。1999年生まれで年齢が高く、大友を狙っていた球団は少なかったようですけど、早期に支配下登録されるかもしれません」(セ・リーグ球団スカウト)

 2024年のBCリーグの成績を見ると、51試合に出場し、打率は.244と高くないが、リーグ2位となる12本塁打を放っている。打った瞬間にそれと分かるホームランが多かった。

 ソフトバンクは、正捕手の甲斐拓也がフリー・エージェント(FA)で巨人に移籍した。一軍で十分な実績を持つ捕手は、嶺井博希のみだ。大友がファームで結果を残せば、早期の支配下昇格、そして一軍に定着するチャンスが出てくる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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