「阿部監督」“超大型補強”の背景に「山口オーナー」との“蜜月” 「ナベツネ=長嶋」路線復活の“大盤振る舞い”に歯ぎしりをする「元監督」とは
原前監督の思いは
このコメントを耳にして、この方は複雑な思いをしたはずである。常に「ジャイアンツ愛」を叫び続けてきた原辰徳前監督である。3度目の監督就任となった2019年から、原氏はチーム編成権があるゼネラルマネジャー(GM)も兼ねる、巨人史上初の“全権監督”となった。「巨人のGM職はあの長嶋さんでさえも兼任させることはありませんでした。全てを原さんに託したのは他ならぬ山口オーナーです」(夕刊紙記者)。
就任直後に2人は、広島から丸佳浩をFAで獲得した。「この時は山口オーナーも丸獲得にむけて5年総額30億円以上と好条件を準備。原さんに全面協力した形でした」。この後、第3次原政権(19~23年)は19、20年こそ連覇したものの、日本シリーズでは工藤公康監督率いるソフトバンクに2年越しの8連敗という球団史上最悪と言ってもおかしくない屈辱を味わった。この惨敗をきっかけに潮目が変わった。原前監督の補強構想にオーナーは協力的ではなくなった。先ほども述べたように、巨人のFA獲得は20年オフの梶谷、井納が最後。「原さんは、補強したいと思っても球団がなかなか資金を出してくれないと珍しくボヤいていた」(巨人OB)。原前監督には、「他球団の選手がFA宣言したら手を上げるのがジャイアンツだ!」という“名言”もあるが、第3次政権ではその補強策はことごとく失敗。任期1年を残して阿部巨人にバトンを渡すことになったというわけだ。
阿部監督を寵愛
それが一変しての補強攻勢。山口オーナーに一体、何があったのか。
「山口オーナーは阿部監督を寵愛しているんです。山口さんは2018年にオーナーに就任。それまでは野球とは無縁でした。そのこともあり、2019年の就任まで2期12年に亘って監督を務め、優勝7回、日本一3回を誇る原さんには遠慮をしていた節がある。原さんもそれに甘え、全権監督に任じられたこともあってやりたい放題やってしまった。2021年、暴行問題で日ハムを追われた中田翔を獲得したことなどは完全に独断で、球団は内心、苦々しく思っていました。それに対し、自分より20歳以上も年下で言うことを聞き、また就任1年目で結果を残した阿部監督はかわいくて仕方ないんです」
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