「年金で豊かな生活が送れるとは思わない方がいい」「年金カットを避ける“裏ワザ”は」 制度改革であなたの年金給付額はどうなる?

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健康寿命から考える

 さまざまな改革案により、必死で「延命」が図られているようにも見える年金制度。われわれはどう向き合うのが正解なのか。

「“年金があるからそれなりに大丈夫でしょ?”という時代はもう終わりで、iDeCoやNISAなどの節税メリットを生かして具体的に65歳以降の資産管理を考えたほうがいいでしょうね。早めに準備するに越したことはありません」(北村氏)

 無論、年金をいつから受給するのか、というのも重要だ。60歳から70歳の間であれば選択可能だが、現状では65歳から受給する人が圧倒的に多い。65歳から60歳までの間に「繰り上げ」る場合、受給額は減少し、70歳までの間に「繰り下げ」ると、受給額は段階的に増える仕組みである。

「受給のタイミングは健康寿命から考えるのがいいと思います。楽しめるうちにお金がないとどうしようもありません。女性の場合は健康寿命が長い(75.4歳)ため、繰り下げのほうが得でしょう。男性の場合はもう少し短い(72.7歳)ですから、繰り上げも視野に入れるべきでしょう」(同)

「繰り下げの方がいい」

 年金を生活費ではなく投資に回す余裕があるなら、

「60歳から受給して投資信託などで運用する、という選択肢も出てきます」(北村氏)

 この点、先の深野氏は、

「繰り下げのほうがいいと思います。繰り下げると1カ月に0.7%、1年で8.4%支給額が上がります。年8.4%も上がる金融商品はなかなかないですよ。また、在老の対象になる人は繰り下げをしても増額されませんでしたが、今回の改革で在老の対象になる人が減るなら、より多くの人が繰り下げの恩恵を受けられる可能性が高まったといえるでしょう」

「“働きたい老人がこんなにいる”はまやかし」

 繰り下げを選ぶ場合、当然その間は働き続けることになるわけだが、

「厚労省はそれを“社会との接点や生きがいを求めて、働きたい老人が増えている”という美談にしています。そういう人もいるでしょうが、多くの人は働かなければ生活が苦しいから働いているのです。それを“働きたい老人がこんなにいる”とするのはまやかしではないでしょうか」(前出・北村氏)

 世知辛い世の中と嘆くのは、複雑な年金の現状を把握し、自らの立ち位置を定めてからでも遅くはない。

 前編【あなたの年金給付額はどうなる?「サラリーマンが損をする」は本当? 年金制度改革で知らないと損をするポイント】では、年金制度改革の概要について報じている。

週刊新潮 2024年12月19日号掲載

特集「我々の『年金』はどうなるか 『制度改革』大詰めで絶対知るべきポイント」より

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