育成1位の入団辞退、上沢直之のFA獲得で「ソフトバンク」にアンチが増加? 識者が指摘するターニングポイントになった“大物選手”の獲得とは
福岡ソフトバンクホークスという球団に対し、これまでプロ野球ファンは様々なイメージを持っていたはずだ。ところが12月に入ってソフトバンクに関する2つのニュースが話題を集め、ファンのソフトバンクに対する“疑問の声”が増えつつあるように見える。1つ目は12月3日、育成1位で指名された日本学園高校の古川遼投手が入団を辞退するとの発表だった。
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プロ野球ファンなら「育成のソフトバンク」という表現はよくご存知だろう。千賀滉大、甲斐拓也、牧原大成、周東佑京……彼らは育成枠でソフトバンクに入団し、這い上がってスターの座を掴んだ。担当記者が言う。
「現在、3軍制度を導入しているのは巨人、広島、西武、オリックスの4球団ですが、ソフトバンクは唯一の4軍制度を運営しています。10月24日のドラフト会議で、育成枠の指名が最も少なかったのは楽天の1人。3軍を持つ西武は7人、巨人とオリックスは6人を指名しました。ところがソフトバンクは13人と12球団最多の指名でした。これには野球ファンから『さすがに多すぎる』、『大半が3軍以下で終わってしまう』と疑問の声が上がったのです。乱獲のように指名して、若い野球選手の人生に責任を持てるのかという問題意識だと言えます」
異論を唱えたのはファンだけではない。野球解説者の高木豊氏は12月4日、自身のYouTubeチャンネルに動画をアップし(註1)、ソフトバンクの“貪欲”を疑問視した。
「高木氏はストレートに『育成選手が多すぎるのはよくない』と問題提起しました。40人で競い合うのと100人で競い合うのは訳が違うという理由です。球団の側から見れば、育成選手が多すぎると目の届かないところが出てくるでしょう。選手側から見れば、過度の競争で『自分は埋没してしまった』と引け目を感じ、やる気をなくすケースも増えてしまうはずです」(同・担当記者)
上沢直之のソフトバンク入団
高木氏の指摘は「過ぎたるは及ばざるがごとし」の格言に集約できるに違いない。そして実際、ソフトバンクが抱える分厚い選手層は“宝の持ち腐れ”ではないかと思わされる動きが出てきた。
打者の仲田慶介は2021年のドラフトで、育成14位で指名されソフトバンクに入団した。今季は1軍で16打席に立ち、打率2割1分4厘を記録。2軍では打率4割0分3厘、1本塁打、11打点と好成績を残したが、11月4日に戦力外通告を受けた。ソフトバンクは育成再契約を提示するも仲田は拒否。11月24日に西武と育成契約を結んだ。
投手の三浦瑞樹は2022年のドラフトにおいて育成4位で指名された。今季は1軍で5試合に登板、打者22人に対し三振4、被安打4、防御率0・00を記録。さらに2軍の防御率は1・60で最優秀防御率のタイトルを獲得した。ところが11月4日に戦力外通告を受け、三浦は中日と育成契約を結んでいる。
野球ファンの注目を集めた2つ目のニュースは、ウェブメディア「西スポWEB OTTO!」(註2)が12月16日に配信した「ソフトバンク、上沢直之と基本合意 レッドソックス傘下3AからFA NPB通算70勝右腕の獲得で先発強化」との記事だ。
投手の上沢直之は2011年、ドラフト6位で日本ハムに入団。2022年のオフには推定年俸1億7000万円でサインし、23年のシーズンは24試合に先発して9勝9敗。防御率2・96を記録した。
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