デビュー40周年目前のTUBE、“冬うた”やバラード曲の意外な人気に本人たちも興味津々 Spotify再生回数ランキングを深掘り

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記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス TUBE(全3回の第3回)

 この連載では、昭和から平成にかけて、たくさんの名曲を生み出してきたアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。

 このたび、2025年でデビュー40周年となるTUBEのギター・春畑道哉とベース・角野秀行にインタビューに取材を決行。インタビュー第1回は、長らく“夏うた”の定番となっている「あー夏休み」と「シーズン・イン・ザ・サン」を、第2回では’90年代以降の“夏うた”を中心に語ってもらったが、最終回となる今回は、バラードを中心とした人気曲や、今後の活動について尋ねてみた。

アルバム曲「十年先のラブストーリー」「君となら」が有名シングルに並ぶ人気ぶり

 TUBEといえば、アゲアゲな“夏うた”のイメージが強いが、実はバラードの人気曲も多い。現に、このSpotify再生回数ランキングでも、TOP20のうち6作はオールタイムベストの『Ballad盤』に収録されている。その中で、第13位の「十年先のラブストーリー」(’91年/『湘南』収録)と第14位の「君となら」(’92年/『納涼』収録)は、アルバム曲ながらSpotify再生回数が累計200万回前後と、ドラマ「世界で一番パパが好き」(フジテレビ系)の主題歌「きっと どこかで」(第12位/CD売り上げは42.2万枚)に匹敵する人気を誇っている。

 この「十年先のラブストーリー」は失恋してもずっと相手のことが好きという気持ちを歌った6分の大作、また「君となら」は、未来に向かってともに歩むことを誓う内容で、当時から結婚式の定番ソングとして知られてきた。ちなみに、この2作は’94年と‘01年のそれぞれ11月にリリースされたバラード・ベスト・アルバム『Melodies & Memories』『Melodies & Memories II』の両方にも収録され、2作で合計120万枚近くヒットしている。それも踏まえると、アルバム曲とはいえ、かなり世間に浸透しているようだ。

春畑「この2曲は、野外ライブでは噴水をぶち上げるなど、壮大な演出でやることがありますね」

角野「ファン投票を実施すると、たいていバラードが上位になるので、やはりご自身の思い出と重なる方が多いのだと思います。でも、こんなにたくさん聴かれているのが数字で分かるのは嬉しいです」

 また、冬にリリースした’88年の「Remember Me」や’89年の「Stories」が、Spotifyではそれぞれ第18位、第19位に。この2作が、’95年夏のヒット・シングル「ゆずれない夏」(第20位)より上位にきていることも興味深い。特に「Stories」は、春畑が手がけた最初のシングル表題曲で、本作以降、シングル曲の編曲もメンバー自身で手がけるようになった。

春畑「『Stories』がシングルになったことはよく覚えています。これは、PanasonicさんのカーオーディオのCM曲として作りました。さまざまな作家の方の曲も集まっている中で、クライアント側から僕のAメロを使いたいと要望をいただき、“じゃあ、それ以外の部分も”とすんなり決まっちゃいました(笑)。それで、これ以降、“アレンジも自分たちでやっていいよ”と突然任されることになって。とはいえ、デビューから約5年間、織田(哲郎)さんのレコーディング方法を見て学んでいましたし、徐々に機材も揃えていて、ノウハウも分かっていたので、戸惑いはなかったですね」

角野「この後、’90年代に入って、よりふざけるようになったのも、セルフ・プロデュースになったことが大きいでしょうね(笑)」

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