“ホークス出身の新星”再び誕生となるか…中日移籍の左腕、三浦瑞樹に期待大!「しっかりと見返していきたい」という負けん気も魅力
ホークス1軍の左腕枠は飽和状態に近い
「3年間、ホークスでやらせてもらって、3年目で支配下になれて、結果も残している中で、そういう『もう一度育成で』と言われたときには、自分の中で『なんでなのかな』というのがすごく頭にあった。せっかくはい上がってきて、そういう風になるんだったら、自分の中では他球団に行った方が勝負できるな、というのがありました」
中日からのオファーも「育成」だった。それでも、3年連続最下位で、エース格の左腕がいなくなる中日と、巨大戦力のソフトバンクでのチャンスを天秤に掛ければ、答えは自ずと出てくるとしたもので「環境を変えるのもいいな、というのがありました」。
ただ、ソフトバンクでは、1軍の左腕枠争奪戦から“漏れた”という現実もある。同時期に育成から支配下に昇格した前田純、2年目の松本晴、ルーキーの前田悠伍ら、同タイプの若手左腕がしのぎを削っている。
さらに、先発ローテーションを見ても、最優秀防御率のタイトルを獲得したリバン・モイネロ、三浦と同じく育成出身の大関友久ら、実績十分の先輩たちも健在で、来季も当然ながら、その座を譲らないだろう。ベテラン・和田毅が現役引退したといっても、1軍の左腕枠は飽和状態に近い。
三浦の“再育成オファー“には、そうした左腕勢の中から、故障者やアクシデントがあった場合の、補充1番手という意味合いがあった。今季も、野手陣のケースにはなるが、柳田悠岐が右太ももを痛めて戦線離脱した際、今季から育成契約だった2019年ドラフト1位外野手・佐藤直樹を即座に支配下登録。戦力の大幅ダウンを食い止めている。
もし他球団からオファーがなかった場合は、“腹をくくる”つもりだった
そうしたバックアップの役割に甘んじたくなかったという三浦の気持ちも、痛いほど分かる。
仮に他球団からのオファーがなかったら「もう1年、腹をくくって、ホークスと契約をしようかなと思っていた」と悲壮な心中も吐露した上で「“争い”ができたのが、自分の中ではすごくよかったというのがある。その他の選手たちとの争いがあったから、今の自分があるのかなと思います」と古巣への感謝も忘れない。
そのソフトバンクから新天地に移って、活躍しているケースは増えている。一昨年の現役ドラフトでソフトバンクから阪神に移籍した左腕・大竹耕太郎は移籍後の2年間で連続2桁勝利、FA移籍の近藤健介の人的補償で日本ハムに移籍した田中正義も、ストッパーとして活躍中。野手でも、昨年の現役ドラフトで日本ハムに移籍した外野手の水谷瞬はセ・パ交流戦のMVPに輝き、オールスターにも出場するなど大ブレークした。
「そういう(大竹や田中からの刺激の意)のはあまりなかったんですが、ホークスの選手の中にも『見返してやれ』という風に言われて、今も言われているので、しっかりと見返していけたらな、というのは思っています」
その負けん気も“買い”だ。博多から名古屋へ。また新たな“鷹出身の新星”が生まれそうな予感がする。
[2/2ページ]