小林誠司、石川雅規の“プロテクト漏れ”で必要な「対価」とは?“FA人的補償”で巨人とヤクルトに決定的な「相違点」
和田、岩瀬で揉めた負の歴史
球界は年の瀬を迎え、フリーエージェント(FA)権を行使した選手の来季所属先が続々と決まった。ソフトバンクからFAとなった甲斐拓也捕手(32)は巨人、茂木栄五郎内野手(30)はヤクルトをそれぞれ新天地に選んだ。甲斐の今季年俸(推定)は2億1000万円、茂木は同6000万円でともに人的補償が発生する「Bランク」とみられている。巨人、ヤクルトは戦力の根幹を守るための28人のプロテクト枠の選定に頭を悩ませることになる。
【写真】球界屈指のイケメン捕手と称される小林誠司。スーツ姿が俳優顔負けなほどキマっている。
FA移籍に伴う人的補償を巡っては、昨オフに山川穂高内野手が西武からソフトバンクにFA移籍した際に和田毅投手がプロテクトから漏れ、西武が獲得を要望しながらも本人が拒否したとして一悶着あった。過去にも中日の岩瀬仁紀投手が移籍を拒んだとされ、“人身御供”の側面がある制度は何かと物議を醸してきた。今回の二つのケースでは巨人で小林誠司捕手(35)、ヤクルトでは石川雅規投手(44)の両ベテランの処遇に注目が集まっている。
巨人は今季、現役時代に名捕手だった阿部慎之助監督が3人の捕手を巧みに起用し、就任1年目でのリーグ制覇につなげた。甲斐獲得に切迫性はないように映ったものの、球団は阿部監督の「守りの野球」をさらに強固にしようと補強に走った。来季の捕手陣も小林のほか、今季チーム最多79試合出場で1番手捕手になった岸田行倫(28)、国内FA権を行使せずに複数年契約で残留した強打の大城卓三(31)を擁する。山瀬慎之助(23)ら有望な若手捕手も控え、過剰感が否めない。
そうなると、真っ先に人的補償の候補に挙がるのが、来季契約を1000万円増の年俸4000万円で交わしている小林だ。原辰徳前監督の下では出場機会に恵まれなかった昨季までに対し、今季は阿部監督が菅野智之投手との「スガコバ」コンビを重用した。小林は女房役として菅野の15勝(3敗)を挙げる活躍に大きく貢献した。その菅野が来季からオリオールズに移籍することで、専属捕手としての役目を終えた。かねて球界関係者の間では甲斐獲得に成功した場合の小林のプロテクト漏れを予想する声が多かった。
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