なぜ「おじさんたたき」コンテンツが人気なのか 「40歳のパーカー」論争も… 鈍感で無神経な男性を「おじさん」とまとめる乱暴さ
コラムニストで脚本家の妹尾ユウカ(27)による「40歳近くになってパーカーを着てるおじさんは結構おかしいと思う」という発言が炎上。ホリエモンやひろゆきも言及し、論争を呼んでいる。ライターの冨士海ネコ氏は、「おじさんたたき」がここまで人気な理由を分析。なんでもかんでも「おじさん」を否定的に扱う乱暴さについても警鐘を鳴らす。
***
【写真を見る】「スタイル良すぎ」 水着姿で美ボディを披露する妹尾ユウカ
妹尾ユウカ氏による「40歳近くになってパーカーを着てるおじさんは結構おかしいと思う」という発言が燃えに燃えている。わたしは43歳にしてパーカーを着てライブする星野源さんの姿に萌えに萌えるタイプなのでびっくりしてしまった。ホリエモンこと堀江貴文さんやひろゆきさんらはXで否定的な反応を示し、連日ネットニュースになるほどだ。
8月には「夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」とXで投稿したフリーアナの川口ゆりさん(30)が炎上した。当時の事務所から契約を解消され、「世間の皆様の想像を遥かに超える深刻な事態が起きている」と交際相手が発信するほどに追い詰められていたよう。今月8日にトレイルラン大会の司会で仕事復帰を果たしたものの、ずっと「体臭批判のアナ」というイメージはついて回るだろう。
妹尾さんも川口さんもそこまで知名度が高くなかったことから、売名行為だったのではとみる向きも少なくない。本人たちは否定しているものの、若い女性による「困ったおじさん」報告は定期的に大きな反響を巻き起こすSNSの定番コンテンツと化している。昨年12月は「今日の席あまりにも人権なさすぎる」と、飛行機内の3人がけ席の中央に座った女性が投稿。両隣のスーツを着た男性が足を組み、靴底を女性の膝に向けている写真は3800万近いインプレッションをたたき出した。4月には新幹線の自由席に座っていた女性が、キャリーケースを置いていたのに隣に座ってきた男性のことを「本当キモい」とさらして大論争に。
以前からターミナル駅などにおける「ぶつかりおじさん」は話題になっていたが、最近は「触らない痴漢」など、公共交通機関における「おじさん」の嫌われぶりの可視化が進む一方だ。
しかし「おじさん」たちだって、全くの無神経なわけではないはず。痴漢に間違われないよう両手でつり革をつかむ、女性の隣に座ることは極力避けるなど、気を使い過ぎるほど使っている人も多い。
体臭や口臭ケアはもとより、そもそも話しかけるのも「キモい」と思われるだろうから必要最低限しか若い女性とは話さないなんていう声も。自罰的過ぎるほどに女性から距離を置いている人たちからしてみれば、妹尾さんや川口さんの発言の方が無神経に聞こえてしまうに違いない。
周囲に気を使えと言う女性たちと、もう十分過ぎるほどに気を使っていると言う男性たちの溝は深い。しかし両者はよく似ている。どちらも底にあるのは、「自分は我慢しているのに」という不満だ。口汚くののしることは性別問わず許されることではないが、どちらも自己責任を意識し過ぎている人たちだといえるのではないだろうか。
次ページ:「おじさん」とは誰のことか? 「自分の機嫌は自分で取る」というはやり言葉の問題点
[1/2ページ]