米国の高関税政策で「トランプ・インフレ」発生の恐怖 ビットコインの「バブル崩壊」なら金融不安を招きかねない

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米消費者が抱く「インフレ懸念」

「誰も見たことがない経済を実現する」

 米誌「TIME」の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に選ばれたトランプ次期大統領は、12月12日にニューヨーク証券取引所でこのように述べ、胸を張った。

 トランプ氏が大規模減税や規制緩和などを政策の柱に掲げていることから、ウォール街はこのところ活況を呈している。一方、次期政権の運営は予見不可能であり、経済を不安定化させる恐れがあるとの警戒も出ている。

 ニューヨーク連銀が9日に発表した11月の消費者調査によれば、1年後の予想インフレ率(中央値)が3%に上昇した。トランプ次期政権が実施するとしている高関税政策でインフレが再燃するとの認識が米国の消費者の間で広がっていることの証左だ。

 個人消費が国内総生産(GDP)の7割を占める米国経済にとってインフレ懸念が消費動向に与えるマイナスの影響は無視できないだろう。

インフレに備えて出費削減の動き

 米国民の間で将来の値上げに備える生活防衛的な動きも目立ってきている。

 金融情報を提供するクレジットカード・ドット・コムが12月上旬に発表した調査結果によれば、今年のホリデーシーズンに例年より多く買い物をするつもりだと回答した割合は30%、そのうち39%が関税による物価上昇への懸念を理由に挙げた。将来に不安や不確実性を感じているため、トイレットペーパーや保存食などの生活必需品を買い溜めしているとの回答も34%に上っている。

 他の国々と比べて貯蓄が少なく、出費が多いことで知られる米国人のライフスタイルにも変化が生じているようだ。12月2日付ビジネスインサイダーは、生活費の上昇が災いして高収入の米国人の間でも現金を貯め込み、可能な限りあらゆる分野で出費を削減する動きが起きていると報じた。

 インフレ懸念の高まりでローン金利が高止まりし、住宅購入の動きに水を差すとの懸念も生まれている(11月21日付ブルームバーグ)。

 トランプ次期政権のアメリカファーストに基づく高関税政策がインフレの再燃を生み出し、経済回復が期待外れに終わってしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

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