「家の外では日本語を話すな」…“小学生刺殺”で中国在留日本人を襲う恐怖 「南京事件の日」は全校休校 警備費用に「税金4300万円」
7~9月で計937件の抗議行動
中国では反体制運動や労働者のデモやストライキなどが多発している。米国に本部を置く国際的人権団体「フリーダム・ハウス」は11月17日、中国での、反体制派が収集した抗議行動に関する報告書を発表した。
それによると、今年の第3四半期(7~9月)の抗議行動は、前年同期比で27%増の937件で、抗議行動に参加した人々の41パーセントは労働者。 2番目はマンションを買って支払いは済んでいるものの、不動産不況で現物が完成しておらずマンションが引き渡しされていない所有者だ。報告書は、抗議行動の3分の1が当局による監視、逮捕、暴力的な弾圧の対象となっていることも明らかにしている。
また、香港に拠点を置く非営利団体「中国労工通信(China Labour Bulletin)」によると、中国では今年上半期にストライキと抗議活動が多発しており、この半年間で719件以上のデモやストライキが発生したという。
殺傷事件多発で100万人による厳戒態勢
実は、習近平指導部はこれらの事件の対策として、昨年から市民の言動を監視するための「密告制度」を採り入れ、中国全土に691ある都市に、不審な人物やグループなどをチェックし上部機関に報告する「監視員制度」を本格的に導入しており、監視員の総数は少なくとも100万人にも達している。年末年始に向けて警戒を強めており、日本の元旦に当たる来年1月29日の「春節(旧正月)」までをめどに厳戒態勢を敷かざるを得ない状況だ。
これは、2020年から21年初めにかけて、厳格な「ゼロコロナ」政策に反対する学生や市民の抗議行動が活発化したものの、事前に情報を察知できず大きな混乱を招いた反省を基に作られたシステムだ。毛沢東時代の階級闘争で使われた「密告制度」の復活で、習近平国家主席による独裁体制強化策の一環といえる。
習近平国家主席は昨年3月、中国の最高指導者として異例の3期目に入ったが、今後の長期政権を見据えて、監視員制度による密告で情報網を拡大し、凶悪事件を防ぐとともに、反政府的な不穏な動きを摘み取り、民衆暴動などを取り締まろうとしているようだ。
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